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カラオケ2にしおりをはさみました!
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カラオケ2
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「Dont carry the world upon your shoulders.
For well you know that its a fool who plays it cool……」
「ちょうちょー、ちょうちょーこの指止まれー、私に飽きても行かないでー…」
「ヘイ!ヘイ!ヘイ!へイ!」
「…………」
誰か助けて。
近場のカラオケにとりあえず三時間行こうと行くことになり、歌い始めて三十分。
もう挫けそうです。
月山さんは英語のラブソングを歌いながらちらちらと熱い視線を送ってくるし、
ヒナミちゃんはみんなもよく知ってる「ちょうちょう」の歌をすごく哀しい歌に変えて歌っている。これ、多分無意識。
万丈さんに至ってはカラオケに来たくせに歌えないらしく、さっきからどの歌に対しても「ヘイ!ヘイ!」って叫びながらタンバリンを叩いている。
僕はというと、その流れに全くもってついていけず、先程から隅でドリンクバーを飲んでいる。
僕、あと二時間半耐えられない気がする……
でも、せっかくのカラオケだし、みんなかなり楽しんでるし、僕もそういう雰囲気を出さないといけないと思う。
現に、ヒナミちゃんと万丈さんが次は僕の番だとでも言うようにキラキラした目でこちらを見ている。
「カネキくんは歌わないのかな?リトルプリンセス達も期待しているようだが?」
「うっ……」
あとで絶対仕返ししてやる。
そう思いながらデンモクを取った。
僕は知っている曲ならかなりあるけど、歌うとなると話が変わってくる。音程、リズム、タイミング、歌詞全てを完璧に歌える曲なんてそうそうない。
別にヒデと来るならそんな完璧な曲じゃなくても構わないけど、月山さんがいるここでそんなことは出来ない。なんか曲いっぱい知ってそうだし、間違えたら心の中で笑われそうだ。
完璧に歌える曲と言えば、これしか……
いつも口ずさんでたし、何回も聞いてたし、本気で歌ったこともあるし……!
ポチ、と予約ボタンを押し、マイクを持ちながら曲を待つ。
「♪~♪~♪~♪~♪」
……来る!
「教えて教えてよ、その、仕組みを~僕の中に、誰がいるの~」
裏声を完璧に駆使して歌う。音程も、リズムも、全て完璧だ。
「♪~♪~♪~…」
曲が終わり、ホッと息をついた。
ミスは皆無。よかった。
と、画面が急に変わり、『いきなり採点』という文字が大きく流れた。
「え!?採点!?」
さっきまでなかったのに!いつの間に!?
「僕だよ。あまりにもカネキくんの歌が素晴らしかったものだから、つい押してしまったんだ。」
月山さん!!!
キッと睨んで画面に目を移した。
大丈夫、大丈夫。
自信があるから歌ったんだ。大丈夫。
深呼吸をしながら画面を見つめる。
そして、次の瞬間。
………98点。
「やった!よかったー……」
思わず立ち上がって少し大きめの声を出してしまった。
でも、そんなのが大人しく思えるくらい、周りの反応の方が凄かった。
「excellentッッッッッ!!!!流石カネキくんだ!!perfectだ!!」
「お兄ちゃんスゴい!!!凄すぎだよお兄ちゃん!!!凄い!!本当に凄い!!」
「カ、カネキ……すごいなお前!98点ってアレだろ、アレだ……かなりすごいやつだろ!?どうやったらそんなの出せるんだ!?というかどうやったら歌えるんだ!?」
いくら個室でも、大きすぎじゃないかと思うほどの大声。
きっとこれ、外まで聞こえてるよな……
ただてさえ白髪だったから警戒されたのに、こんなに騒いだら追い出されそう……
予想は的中して、店員の人が様子を見にきた。
慌てて弁解をしてなんとか誤解は解けたけど、警戒はさらに強化されたみたいだった。
その後は静かにカラオケを楽しんだ……らよかったのだけど、当然このメンバーではそうも行かなくて。
月山さんは日本語ではない言葉を連発しながら襲いかかってくるし、ヒナミちゃんはまた哀歌を歌うし、万丈さんはタンバリンを叩き続けていた。
二時間経って店から出た時には、僕だけへとへとだった。
けどまぁ、みんな楽しめたみたいだし、いっか……
楽しそうに話している二人(もちろん月山さんは除いて)を見ながら、笑いを漏らした。
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