アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
164にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
164
-
通話の切れたケータイをぼんやりと眺める。
やりきれない思いが頭の中を支配してそこから動き出す気力も湧かない。
そんな時、ドアを軽く叩く音がした。
「仁ちゃーん、次お風呂どうぞー」
いつもの呑気な嶋津の声
聞こえているのに反応ができない
頭が考えることを放棄しているかのようだ。
「仁ちゃん??」
ドアの開く音が聞こえる。
あぁ……鍵、閉め忘れたのか
「聞こえてる??さっきから呼んでるのに!」
嶋津は俺の横まで来ると無駄にでかい声でそう言ってくる。
「……あぁ…」
俺は小さく返事して立ち上がった。
嶋津の方は一切見ずにドアへと向かう。
「仁ちゃん?どうしたの??」
その声には反応せずただドアを目指す。
が、部屋を出る直前に服の裾を掴まれて立ち止まった。
「……なんでもねぇよ」
「嘘つき。なんでもないって顔じゃないよ?」
「……うぜぇ」
振り返ることなく嶋津の手を振り払う。
「仁ちゃん……」
「すまない。ちょっと出てくる」
そう言い残し、俺は部屋を後にした。
嶋津はそこに立ち止まったまま、後を追いかけてくることはなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
164 / 376