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138.✩お姉さんにしおりをはさみました!
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138.✩お姉さん
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✩✩✩✩
「旭!」
バンッと音を立ててリビングのドアが開いて、楓さんが慌てたように入ってくる。
「あ、楓さん」
「あら、楓。仕事もう終わっちゃったの?ざんねーん。はい、アサくん、あーん」
呆然と立ち尽くす楓さんをスルーして、桜さんは俺の口に料理を運ぶ。酒のつまみにとさっき桜さんが作った軽食だ。
楓さんが作った料理の方が美味しいけど、桜さんの作った料理もどれも美味しかった。
「お、お前ら……」
「ね、楓、心配なかったでしょ?私とアサくんは仲良しだから。ふふふ、アサくん、美味しい?」
「はい、美味しいですよ」
「きゃー、嬉しい!たくさん食べてね!」
酔っているのか楽しそうにはしゃぐ桜さんを見て、楓さんは顔を顰めていた。
遡ること一時間前。
帰ってきた俺は桜さんに引きずられて、ダイニングに連れて来られた。
軽く怯える俺を椅子に座らせると、桜さんは料理の乗った食器をテーブルに並べながら自己紹介を始めた。
そこで初めて、桜さんが楓さんのお姉さんだと知った。
桜さんは自分や楓さんのことをいろいろ話してくれて、三十分もしないうちに俺たちは仲良くなっていた。
美人で話が上手な、楓さんのお姉さん。
あっという間に俺は桜さんのことが好きになってた。もちろん知り合いとして。
柚里もしっかりしているけど、桜さんは大人って感じがして自分に姉ができたみたいだった。
ダイニングで料理を食べながら楓さんの話をして、お酒を飲もうと言い出した桜さんとリビングに移動した。三人がけの大きいソファーに座ってまた楓さんの話をした。
そしたら少しして楓さんが来た、というわけだ。
楓さんはため息をついて俺たちが座ってるソファーの向かいのソファーに座った。
あれ、こっちに座らないんだ………。座るスペースあるのに………。
いつも隣あって座ってるから、なんか寂しかった。
「旭はお酒飲んだ?」
「んー?俺は飲んでないよ」
本当は桜さんに勧められて少しだけ飲んだ。でも本当に少しだけだ。この前みたく酔うほどは飲んでない。
「へぇ、じゃあさっきの『あーん』は素面だったってことか」
その言葉を聞いて、楓さんの機嫌が悪いってすぐに分かった。……ああ、これは俺が悪い……よね。
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