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139.✩一気に
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✩✩✩✩
楓さんはお姉さんが来ることに乗り気じゃなかった。俺が取られるからって。
正に今、『お姉さんに俺が取られてる』状態だ。取られたつもりはないんだけど、楓さんの目にはそう映っているんだろう。
それだけじゃない。単に桜さんと俺が仲良くしてるのが気に入らないんだ。だから楓さんは機嫌が悪い。
ごめんなさいって申し訳ない気持ちで、楓さんのところに行くとぎゅっと抱きしめられた。
「あ……や……桜さんいるから……」
「桜姉は俺たちが付き合ってること知ってるから」
そうだったのと桜さんを見ると、にこにこ笑いながらソファーに凭れてちびちびとお酒を煽っていた。
「私は、楓が誰と付き合おうが気にしないわよ?むしろ相手がアサくんで良かったと思ってるくらい!」
「ほら、気にしないってさ。よいしょっと……」
楓さんは向き合うように俺を膝の上に抱き上げた。
気にしないって、こういうことをじゃないと思うんだけど………。
桜さんがいるから一応形だけでも抵抗してみると、がっちりと楓さんの腕が腰に回ってきた。
「お前、酒飲んでるじゃん。嘘ついたね」
「あ、う………ごめんなさい……」
「ふふっ、相変わらずラブラブなんだからー。ほんと羨ましいわぁ……」
「桜姉も飲むならほどほどにしといてよ。旭にいたずらしないようにね」
「分かってるわよー」
桜さんはそう言いながらも、すでにかなりの量を飲んでいた。目元が赤くなっていて、ぽわんとした感じだ。いつの間にか缶ビールが四本も空になっている。
「二人も飲めばいいじゃない!どうせ明日は学校お休みなんでしょ?」
「いえ、俺は………」
「旭は弱いからダメ。俺が飲む」
桜さんが俺に差し出してきた缶チューハイを楓さんが横から取った。そしてカシュッと片手でプルタブを開けてぐびぐびと一気に飲んだ。
そんな一気に飲んじゃいけないんじゃ……と楓さんを見ると、ばちっと視線が絡まった。
細められた楓さんの切れ長の目が、あまりにもかっこよすぎて鼓動が早くなる。体中の血液が沸騰してるんじゃないかってくらい熱くなった。
直視していられなくて楓さんの肩に顔をうずめた。たぶん、今の俺は顔が真っ赤になってると思う。
やばい、今日の楓さん、なんか色気が………。
俺がお酒を飲んだせいか、はたまた楓さんに何かあったのか……。
いつも以上に、楓さんがかっこよく見えた。
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