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両思い?にしおりをはさみました!
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両思い?
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カチカチカチカチ
ボールペンの芯が出し入れを繰り返す。このボールペンの主は、増村真澄(ますむら ますみ)である。
「ああ、苛立つ。」
発せられた言葉通り、増村は苛立っていた。
「なんでだよ。」
何故なら――
「なんで何も変わらないんだ!」
そう、恋人になったはずの田辺の態度が以前と全く変わらないのだ。
『君に好きだと言わせたい』
アイツを落とすためにいろんなことを頑張ってきた。小学生の家庭科以来やったことがなかった料理も練習を重ねて来たし、本屋で女性向けの雑誌を漁って策を練る事も忘れなかった。最初アイツは、俺を面白がって見ていたに過ぎない。でも、段々と距離は近くなって、あの日――合コンから帰ったあの日、お前の気持ちを初めて知れた。
「もっと、君を知りたい……」
「だから……だから、俺ともっと一緒にいて、増村」
涙を零しながら、アイツはそう言ったんだ。
だから俺も、
「それなら、俺と付き合えばいいだろ。」
と、言ったのに。
言ったのに。
言ったのにだ。何故変わらない!あの日以降キスさえもしていない!手をつなぐことも全くない!俺も俺だ!恋が実ったと油断しすぎていた。あんな飄々と生きている奴を相手にしているんだ。放置していたらふわふわどっか飛んじまうことくらいよく考えたら分かるだろーが!
あれ? 待てよ? もしかして恋が実ったと思っているのは俺だけじゃないのか? よく考えると、アイツはうんともすんとも言ってないよな?
一人自分の部屋でジタバタともがく。
「はあ……。」
我に返って冷静さを取り戻した俺は、机の引き出しに手をかける。
ガラガラ
「仕方がない。」
そう言って手にしたのは、あの日から引き出しに眠っていたあの手帳。手にしていたボールペンで新たなページを開く。
「こうなったら、何が何でもアイツに俺のことを好きだと言わせてやる!!」
そうして俺は、手帳に新たなリストを書いていった。
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