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距離にしおりをはさみました!
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距離
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親友ではないがまったく話さないわけでもない。所謂友達ってやつで、たまに一緒に飯を食ったり下校したり、休み時間にくだらない話をしたりと、俺と五條はそんな仲だった。
五條には親しい友人が多く、いつも周りに人がいるイメージがある。人懐っこいし冗談を言って人を笑わせるのが得意だ。
けれど、俺は周りの奴みたいに積極的に彼に話しかけたり他のクラスメイトの話の輪に入ったりはしない。人見知りで寡黙な性格もあってか、自分の周りには彼みたいにたくさんの人が集まってくるわけでもない。
だけど今の状況が割と気に入っていて、1人は嫌ではないし少し話せる相手がいればそれでいいので現状に満足している。
五條は恥ずかしながら俺の中で「特別」という感情に分類されて、好きという言葉に形容しても良かった。恋愛感情の観点じゃない、ただ友人として、尊敬、敬愛の感覚としての好意。
遠巻きに彼を眺めながら淡々と「もう少し仲良くなってみたい」いつもそう思うだけだ。それは単純に一方的な願望なのだが。
彼は本当に気さくな面白い奴で、話に聞くのはテレビで何を見たとか、どの芸能人や音楽が好きだとか。聞いていて微笑ましい物や冷や汗をかきそうになる物まで話題は様々。
ただ他と違うのは彼自身の生半可ではない武勇伝。
昔から喧嘩が強かったらしく、今でも顔に絆創膏を貼ったり腕に包帯を巻いたりと生傷が絶えない。
喧嘩が喧嘩を呼びその頻度は多い。心配したら本人は決して頑丈ではないだろう細身の肩を揺すりながらゲラゲラと笑い飛ばして
「俺って負け知らずなんだよ。今のところ682勝0敗!」と、また一つ今回の武勇伝を聞かせてくれる。
勉強の方は強いわけではないのだが、勇ましく美貌のある彼は女子の人気も集めている。
何の変哲もない日常を過ごしていたある梅雨時の雨が降った日のこと、五條はいつもの何倍かの大怪我を負って登校してきた。
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