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二十一にしおりをはさみました!
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二十一
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「勉強教えて欲しいんだけど」
朝一に川崎君が俺の所にやって来てそんな事をお願いされた。
「……勉強」
「そ!勉強!」
ニコッと笑う川崎君は今日も笑顔が眩しい。
昨日の急に教室を飛び出した事を謝られて、でも川崎君が悪い事なんて1つもなくてむしろ俺自身が何かしたのかなってずっと気になってて。川崎君が教室に戻ってきてからも顔を見れないでいたから、昨日の朝ぶりに顔を合わせて少し緊張してしまった。
それでも川崎君は昨日の事はもう忘れて、って切り替えてくれて。
実際は俺としては本当は昨日の川崎君の顔が忘れられないでいる。
しかし今の意外なお願いに一先ずその事は忘れそうである。
「俺が、川崎君に…?」
「うん。今度さー、現文の実力テストあるだろ?俺こないだのテストもやばくてさ、徹ちゃんに怒られちゃうわけ!でさ、田端頭良いしー、教えてほしーなーって!」
いつの間にか前の席の椅子に座って俺の机に両肘を乗せてる川崎君。
か、顔が近いです……。
「い、いいけど…俺でいいのかな?」
「うん!田端がいい!」
きらっきらの笑顔でそんな事をお願いされたら断れる筈もなく、でもなんで俺?っていう疑問が払拭されるわけでもなく……。
別に勉強が嫌いなわけでもないし国語が苦手なわけでもないけど、教える事が得意かと言われたらそうでもない。
んー、と煮え切らない態度の俺に川崎君は尚もニコニコした笑顔でとんでもない事を口にした。
「あ、俺んち来て教えてよ」
「え?!」
な、何言ってるの川崎君…っ!
「俺さー、図書館とか自習室とか行きたくねぇんだよなぁ〜。息つまるし…」
「え、で、でも…川崎君の家って…」
「あ、もしかして帰る方向全然逆だった?駅前のカフェで会ったから電車乗って来てんのかなーとは思ったけど」
「俺は…市役所方面…に5駅かな…」
「まじ?!一緒!しかも俺2駅だし」
ぱぁあっ、と更に笑顔になった川崎君に見入ってしまう。
「家だとくつろげるしなぁ」
「勉強するのにくつろいでいいの…?」
「確かに!」
ケラケラ笑う川崎君に流されちゃってるけど、突っ込むところはそこじゃないでしょ俺。
家って、…。俺クラスメイトの家なんて小学校以来だし…その、…みんなの人気者である川崎君の家だなんて、とても恐れ多くて。
「あ、わり…勝手にどんどん話進めて…お前の用事もあるしな……あー、テストが来月だから…月4回の週一でいいし!なんなら毎回ジュース奢る。な?お願い!」
俺が思ってる事を勘違いしたのかなそんな提案をしてくる川崎君。
「あ、や、…その、大丈夫だよ奢るとかは…いいよ、川崎君の家でやろ?」
「……さんきゅー‼︎」
目をパチクリさせた後にまたぱぁあと笑って俺の手を握ってくる川崎君。…こういう事自然に出来ちゃうのがイケメンの凄いところなんだろうなぁ……。
ふぅ……
川崎君の家か……。
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