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夕焼け
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ガタン、と、列車が動き出す。
ホームが遠ざかってく。
(…真山……)
冷たい指先と、寂しそうに囁かれた声と。
最後の笑顔を思い出していた。
(……行かないでよ)
あいつの所になんか。
何もないなんて思えない。
だってあいつは……
『…誰だよ、てめぇ』
『どう見ても朝帰りだろ』
『…こんなチビのどこがいいんだよ』
たぶん、真山のことが好きなんだ。
初対面の俺に、あんなに敵意剥き出しだったのも…そう考えれば、納得がいく。
(……真山……)
心配で仕方ない。
勉強教えてもらうなんて、会うための口実で、本当は……
(……やめよう)
考えれば考えるほど、思考は悪い方向へ展開してく。
最悪の想像が胸をよぎる。
(…なに考えてんだ、俺……)
真山と別れてから、少しでも気分を紛らわそうと、ぼんやりと夕焼けを見ていたけど。
それすら辛くなって、スマホに目を落とした。
(あれ?)
なんか通知来てる。
誰だろう。
(…っ…真山…!?)
一気に心臓が速くなる。
落ち着け、俺。
[言い忘れてた。バイト頑張ってね]
(…っ……!)
低い声が頭に響く。
顔が熱くなってく。
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