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約束にしおりをはさみました!
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約束
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放課後。
薄情なあいつらは、また俺一人を置いて帰っていったけど、今日は成宮と帰る約束してたからちょうどいい。
荷物をまとめて帰ろうとすると、真山に呼び止められた。
というか、廊下に向かおうとした俺の前に立って…進路を塞いだ、のほうが近い。
「藤川」
「なに?」
「一緒に帰らない?」
「え……」
きれいな笑顔にドキドキするけど、そんなこと考えてる場合じゃない。
いつの間にか距離を詰められて、目の前にいる真山を見つめる。
「ごめん、今日は…成宮と帰る約束してて」
二人だけの教室。
ホームルームが終わったんだろう、隣のクラスが騒がしくなる。
「…そう」
その声にかき消されてしまいそうなほど、真山の返事は小さくて。
寂しそうな表情に、胸が痛くなる。
「…ごめん……」
真山につられて、俺もうつむいてしまう。
静かな時間が流れていた。
隣のクラスとは、まるで別の世界みたいだ。
「ううん、俺の方こそ…呼び止めてごめんな」
思わず顔を上げると、困ったように笑ってる真山。
視界の端に、廊下を歩いて帰る人たちが見えた。
今頃、成宮は俺を待ってるのかな、と頭の隅で考えたけど、それよりも今は悲しそうに笑う真山が気にかかる。
「あの…明日は一緒に帰れるから…」
実は今日も明日もバイトなんだけど、バイト先の駅も普段から使ってる路線だから、同じ電車に乗って帰れる。
これで真山は元気になってくれるかな。
「ほんと?」
ぱっと真山の顔が明るくなった。
可愛い。
きゅうっと胸が締め付けられて、何も言えなくなる。
真山ずるい、とか一方的に考えていると、廊下に成宮の姿が見えた。
「あ……」
思わず声を上げると同時に、真山の手が伸びてきた。
緊張して何もできないでいると、優しく頬を撫でられる。
「ありがとう、藤川」
「え?あ、うん…」
嬉しそうに微笑む真山。
ゆっくりと顔が近付いてきて、思わずぎゅっと目をつぶった。
こつん、と額がくっつく。
(………?)
そっと目を開けると、目の前に真山の顔。
一気に顔が熱くなる。
「…楽しみにしてるね」
唇が触れそうなくらい近くで話す真山。
嬉しそうに笑うその顔は、やっぱりきれいでずるい。
「…う、うん…」
思わず息を止めて、真山を見つめる。
恥ずかしいのに逸らせなくて、顔は熱くなってく一方だ。
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