アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
不安と誤解とにしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
不安と誤解と
-
「……真山はさ」
いつも大人っぽいその笑顔が、いつも通りのその余裕が。
なんか悔しくて、何よりも不安だった。
「…なんでそんなに余裕なの。緊張してたんじゃないの?」
余裕をなくした真山を見ると不安になるけど、いつもみたいに余裕な真山も、それはそれで不安で。
わがままだと、自分でも思う。
それでも、いつもの余裕がなくなるくらい、緊張してて欲しかった。
眠れなくなるくらい、俺を意識してて欲しかった。
「眠れないくらい緊張してたのは、俺だけだったの?」
俺と同じ気持ちでいてくれてると思ってたのに。
不安は連鎖して、真山の気持ちまで信じられなくなってしまう。
「…藤川?」
やばい、止まんない。
だめだってわかってるのに。
小さく俺の名前を呼ぶ声が、余計に不安を煽る。
「真山は…本当に俺のこと好きなの?」
言った瞬間、ズキン、と胸が痛んだ。
俺は今、大好きな人を疑ってる。
ぎゅっと俺を抱きしめる真山。
「……ごめん。好きだよ」
ほんの少しだけ。
真山の声が震えてた。
すぐに後悔したけど、遅かった。
なんで俺はいつもこうなのかな。
「っ…ごめん、真山…」
涙が溢れて、真山の胸に吸い込まれる。
ごめん、と何度も繰り返して、その体にすがりついた。
「謝らないで、藤川」
困ったように笑う真山。
いつもみたいに、優しく俺の頭を撫でる。
「…あのね」
「…ん……」
俺の顔を覗き込んで、そっと涙を拭ってくれる。
さっき、真山のこと泣かせちゃったかも、と思ったけど、真山はいつも通り大人っぽく微笑んでて、ちょっと安心した。
「…緊張してたのは本当。でもね」
そこで言葉が止まって、ぎゅっと抱きしめられる。
なんとなく言いにくそうで、不思議に思いながら続きを待った。
「…それより、早く寝なきゃって思って…あのままじゃ、藤川に何かしちゃいそうで」
「…え……」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
162 / 247