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眠れないんだってば
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「…………」
部屋の電気を消してから、たぶんもう一時間くらい。
俺は、いまだに眠れずにいた。
真山の心臓の音が聞こえる。
(…もう寝ちゃったかな…)
真山の呼吸や心音は規則的で、忙しなく動いているのは自分の心臓だけだとわかる。
それでも、真山の緊張が伝染しない分、さっきよりは落ち着いてるけど……
(慣れないなぁ…)
顔も体も熱い。
ちょっとでも離れられればいいんだけど…いま動いたら、真山を起こしちゃいそうで、迂闊に体勢は変えられない。
結局、熱いのは我慢して、大人しく目を閉じた。
「…………」
(…眠れない……)
どうしよう、やばい。
明日は雅と会わなきゃいけないのに…このままじゃ寝坊する。
(どうしよう…)
真山が起きる気配はなくて、緊張なんてまったくしてないように思える。
こんなに意識してるのは…こんなに好きなのは俺だけなのかな、と思うと、ちょっと寂しくなってしまう。
(……真山のばか……)
せっかくさっきマッサージしてもらったんだから、と自分に言い聞かせて、泣きそうになるのを堪える。
確かに真剣に聞こえた真山のセリフ。
『…好きなんだ、藤川』
(…真山は…本当に俺のこと好きなのかな…)
弟みたいって思われてたから諦めてたのに、いきなり好きなんて言われて、付き合うことになって…不安にならないわけがなかった。
「…真山……」
本当に信じていいのかな。
そう思ってしまって、ぽつりと呟く。
「…藤川」
「っ!?」
突然、低く名前を呼ばれて、心臓が飛び出そうなくらい驚いた。
掠れた声はなんかエロくて、さらに心拍数が跳ね上がる。
「なっ…起きてたのか…!?」
「んー…寝てたけど、ちょっと前に起きた」
「…もしかして、起こしちゃった…?」
「ううん、大丈夫だよ」
くすくす笑いながら、頭を撫でてくれる真山。
俺のせいじゃなかったみたいで、ちょっと安心する。
「…眠れないの?」
指先が耳に触れる。
珍しく温かい指に、ちょっとびっくりする。
「…ちょっと…緊張して…」
何か、よく眠れる方法とか教えてくれないかな。
そう思って、恥ずかしいのを我慢して正直に言ってみたけど、真山は可愛い、と笑うだけだった。
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