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うさぎにしおりをはさみました!
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うさぎ
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「おし、やるぞ」
「はい」
リンゴと包丁を用意して、準備は万端。
真山は本当に楽しみにしていたらしく、ちょっと嬉しそうにしている。
「まず8等分するんだけど、その前に」
「8等分…」
「いや待って、まだ切るなよ!その前にって言ったじゃん!」
テンション上がりすぎだろ、真山…どんだけうさぎ作りたいの。
「ごめん、なに?」
一度持った包丁を置いて、くすくす笑ってる真山。
なんかもう…楽しそうで何よりだよ。
「レモン汁ある?」
「あるよ。はい」
ボウルに水を用意して、そこにレモン汁を数滴。
これで本当に準備完了。
「何それ」
「切ったリンゴはここに入れて」
「塩水じゃないの?」
「塩水でもいいんだけど、りんごがちょっとしょっぱくなるの嫌じゃない?」
「あぁ…それでレモンね」
「うん。もう切っていいよ」
「わかった」
とん、と包丁を入れる真山。
二つに切られたリンゴのうち、半分は俺が担当。
それを適当な大きさに切って、いよいようさぎを作る。
「先に、芯のところ取って」
「うん」
「できた?」
「できた」
「じゃあ、耳作るから見てて」
浅く二本の切り込みを入れて、後ろを切り取って。
真山は、それを真剣に見つめていた。
「はい、完成」
「おぉ…すごい…」
「すごいのか…?」
まぁ、作り方を知らない真山からしたらすごいことなのかもしれない。
練習すれば、すぐできるようになると思うけど……
「やってみるね」
慎重に刃を入れて、うさぎを作り始める真山。
中学のときまで、楓に料理を教えてたのを思い出す。
今では俺より上手になっちゃったから、ちょっと寂しいけど、うまいメシ食わせてもらえるからそれはそれで嬉しい。
(…楓、心配してるかな)
そろそろ帰らないと、と思いながら、ちらりと時計を見た。
勉強教えてやらなきゃだし、マフラーも渡したい。
「できた」
「おー、見せて」
「はい」
「…うめぇ…」
こいつ初心者じゃないのかよ。
なんでこんなに器用なの?
「本当に?これって上手いの?」
「上手いだろ、初めてにしては」
「でも、もっと練習するね」
「うん、頑張れ」
真山も楓と同じで、どんどん俺を追い抜いてく人なのかな。
ちょっと寂しい、と思いつつも、暇なので横顔を眺める。
真山の横顔は、単純に線が美しいというか、きれいだと思う。
(…本人に言ったら、なんて言うかな)
へんなの、とか言われて終わりそう。
まぁ、普通の男ならきれいなんて言われても嬉しくないよな…。
少なくとも、俺は嬉しくない。
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