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浜辺を二人でにしおりをはさみました!
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浜辺を二人で
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車を停めて、岸壁を覗く。
「わぁっ!」
すごい!
波が押し寄せる度に、ふわぁっと青白く波打ち際が光る。
「キレイ!!」
小栗さんと一緒に、浜辺まで歩いた。
浜辺に青い光が打ち寄せる。
「すごい…幻想的…」
ボーッとそれを眺めていたら、小栗さんが少し歩こうと提案してくれた。
何組かチラホラとカップルやグループがいる程度で、そこは思った以上に静かだった。
車の中から、あまり言葉を交わしていない。
俺が話せなくなったのもあるけど…
二人の間に、何か変な空気が漂っていた。
「わわっ」
考え事をしていたら、砂浜に足を取られそうになる。
するりと小栗さんが俺の手を取った。
「危なっかしいから…捕まってて」
そう言って、キュッと指を絡められる。
小栗さん…さっきもそうだけど、これ…見られてもいいの?
誰かに見られたら、言い訳できない状況だよ?
え?俺?
俺からは手を離せない。
好きな人の手を払う理由はないもん。
もし知り合いに見られたら?
…そのリスクより、今俺を求めてるこの手を選ぶよ。俺は。
だって…
いつ、この手が離されるが分からないんだ。
彼女が出来たら、俺なんかに構ってくれなくなるかもしれない。
期間限定なんだから…いいよね?
俺も指に力を込めて、しっかりと小栗さんの指に絡ませた。
波打ち際の青白い儚げな光が、俺の心に一層切なさを増していく。
「さっきの、まだ気にしてる?」
「え?」
「ナンパのヤツに…変なこと言われたろ?」
どうやら小栗さんは、俺の口数が減ったのはナンパが原因だと思っているらしい。
「いや…大丈夫です」
「じゃ、どうして急に元気なくなったの?」
小栗さんが立ち止まって聞いた。
「ちょっと考え事を…その、すみません」
小栗さんは、何も言わずに手をぐいっと引いて、俺を抱き寄せた。
小栗さん、何を考えているのかな?
胸に頭をつけると、トクントクンと小栗さんの心臓の音がした。
繋いでいない方の手を、小栗さんの背に回してギュっと抱きつく。
「!…佐藤、君?」
「ん〜〜…よし!エネルギーチャージしました!もう大丈夫ですっ!」
そう言って、手で胸を押して離れた。
分からないことを悩んでも仕方ない。
俺は今、この温もりだけを感じていよう。
暗がりで見えないかもしれないけど、俺は精一杯の笑顔を見せた。
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