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土曜日、雅治さんと会った時、隠し事をしてるのが忍びなくて、若干ソワソワしてしまった。
雅治さんに会う前に、アキちゃんから
"明日は、△△駅の南口に13時集合です!"
と、連絡をもらったから。
松井さんやジムのことは、結局何も聞けないまま。
何より、俺は怖いんだ。
今回の件に限らず、もし雅治さんとケンカになって……
別れるとか、そう言う話になったら…と思うと、強く問いただすことが出来ない。
そして…日曜日。
駅近くのカフェにて。
「アキちゃん。本当に行くの?」
「行きますよー?…ちょうど最近、身体動かすこと始めたいって思ってたんです。ここなら、うちから乗り換えなしだし、施設も充実してるし、本気で通うこと考えようと思って。何より、大浴場も自由に使えるのが魅力的ですね!…佐藤さんは、ここで時間潰しててくださいね」
酔いの冷めたアキちゃんが出した答えは、こう言うことだった。
本気で見学しつつ、中の様子とか雅治さんと松井さんの様子とかを見てくるから、俺はココで待ってろ、と。
アキちゃんは、雅治さんとそんなに面識があるわけじゃないから変装したらバレないだろう、と、今日は伊達メガネをしている。
「…松井さんとやらは、まだ通らないですか?」
「うん。まだ通ってないと思う」
ここは、通りに面した、ジムの入っているビルの入り口が見えるカフェ。
アキちゃんが松井さんの顔を見ておきたいって言うんで、俺もこうして窓際の席に座って、一緒に張り込みをしているところだ。
電車で来るならここを通るはず…という期待を込めて、サンドイッチを頬張りながら外を眺める。
「ふふっ」
「?…何ですか?」
「いや、何か、探偵みたい」
「私は真面目ですー。…ところで。見学に行って何も掴めなかったら、その場で小栗さんにアタックしてもいいですかね?」
「えっ?…何も掴めなかったら、それで良しにしない?」
「うーん。。それにしても、何で小栗さんは佐藤さんをジムに連れて行ってくれなかったのか…。浮気はないとしたら、何でしょう?佐藤さんがヤキモチ妬くくらい、美人なトレーナーが付いてるとか?もしくは…ハーレム状態で太極拳のレッスン受けてるとか?」
「うん。浮気はない…と思うけど」
…そう、思いたい。
松井さんとも、何もないと思いたい。
「アキちゃん…俺、やっぱり一緒に行くよ」
「え?…でも」
「俺、自分を追い詰めない限り、雅治さんにジムのこと聞き出す勇気ないから。ジムの様子見たら…納得できることもあるかもしれないし。うん」
結局、俺が納得しないと意味がない。
アキちゃんに任せるわけにはいかないんだ。
て言うか、最初から逃げずにちゃんと雅治さんから聞き出せてたら、こんな風にアキちゃんに迷惑かけなかったのに…
うん。分かってるんだけど。
なにも出来ない弱い自分にうんざり…
そんな感じで、ため息を吐きながら外を見た時…
「あ…」
「えっ?」
俺が声を発すると、アキちゃんが俺の目線を追った。
「来た!松井さん。…ほら、あの白いコート」
「えっ?…あ!あのダッフルコートの…髪がふわりとした子ですか?」
「うん、そう」
松井さんが俺たちの目の前の通りを歩いて、ビルに入るまでの十数秒。
アキちゃんは、伊達メガネを外して、すごい真面目な顔で彼女を見ていた。
「なるほど…自分に自信がありそうな子ですね。…確実に小栗さんを見た目だけで選んだみたいな」
アキちゃんがすごく嫌そうな顔をしてそう言った。
「あの見た目で策士とか怖いなー。…佐藤さん、あれはまともに相手するだけ疲れる相手ですよ」
「え?」
「あーゆーのは、適当に無視するのが一番です」
「そ、そう?」
俺にはよく分からないけど、アキちゃんは一人で何か頷いていた。
「モテるのも、大変ですねー…。さ、あと20分で出陣ですよっ?」
アキちゃんはそう言って、残りのサンドイッチを頬張った。
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