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動き出す闇 3にしおりをはさみました!
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動き出す闇 3
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その異様な光景に周囲は静まり、稜は唖然としたまま、ゆっくりと阿久津に歩み寄る。
「じ、ん、?」
か細い声が溢れる。
「動くな!!!!!!」
その時稜に向かって、呼詠の張り詰めた声が飛んだ。
普段の話し方からすると考えられないほど真剣な声音に、更に校庭は静まり返る。
「匂う。知らない鬼の匂いだ。まだ何処かに隠れている」
呼詠の声にはっとする。
「お、に....?」
そう呟いた稜が、ちらりと俺の方に視線を落とす。
「ち...ッ、稜!!!俺は何もしてない!」
「ガルルルルッッ!!!」
犬神の姿に変身した呼詠が、牙を剥き出しにして俺の方に飛んでくる。
ま、って、
まじで俺、なんもしてない
俺が阿久津を攻撃するわけがない。
浮かぶ言葉は、心の中で消えていく。
もうダメだ。やられる。
そう思い、目を瞑る。
体に力を込めて身構えるけど、一向にその衝撃はやってこなかった。
バッと後ろを振り向くと、呼詠が1人の知らない男に食らいつこうとしていた。
呼詠の牙がギラギラと光った瞬間、男はニヤリと笑った。
タラ...と、冷や汗が垂れる。
「呼詠!!!!ダメだ!!!!」
俺がそう叫ぶのと同時に、「ギャインッッ」という呼詠の痛々しい声が響いた。
喉元の真っ白な毛を、呼詠の血が染めていく。
目の前が真っ白になった。
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