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西洋の鬼 4にしおりをはさみました!
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西洋の鬼 4
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その表情は、驚きに満ちていた。
「...若葉!!何馬鹿なこと言ってんだ!!」
「そうだで、若葉。幾ら何でも、そんな事は出来ねえだ。」
「...若葉。気持ちはわかるが、それでは二つ目の議題、和の鬼をどう守るか。という問題は解決出来ないだろう。」
そう言う叔父さんの言葉に、イラっとくる。
「...そんなに、和の鬼は偉いのかよ」
響く声も気にせず、俺はそのまま続ける。
「和の鬼が原因でこんな事になってんだぞ!!他の妖怪ばっか頼って、等の和の鬼共は指咥えて待ってろとでも言うのか!?おれ達の所為で他の妖怪が殺されかけてんのに、俺たちが先頭に立たなくてどうすんだよッ!!!」
俺の中に広がる、悔しさと苛立ちが、流れていく。
「若葉、落ち着いてくれ」
「...うるせえよ。大体なんだよ、和の鬼を守る為にはどうしたらいいかってそんな下らない議題立てんじゃねえよ!!和の鬼だけ特別扱いされる義理はねえよ!!!」
そう叫ぶと、銀司さんが優しく腕を引く。
「若葉、聞いてくれ。知ってるかも知れないが、和の鬼は今絶滅の危機にある。妖怪の種の存続を守る為に、必要な事なんだ。和の鬼だけじゃない。今日本の妖怪は、次々と数が減っているんだ」
「...そんなの知らねえよ。俺は妖怪だけど、妖怪じゃねえ。人として生きてきたから、妖怪の事なんてこれっぽっちも分かんねえ。種の存続とか、正直どうでもいい。......俺はただ、もうこれ以上仲間が傷付くのを見たくないんだ」
弱々しく消えた言葉と共に、銀司さんが俺の肩を強く引き寄せる。
「もう誰も傷付けない為に、こうして集まってんだ。俺だって、お前が傷付く所なんてもう見たくねえよ」
銀司さんの辛そうな声が届く。
冷静にならなきゃ。
わかっているのに、どうしようもない。
もうどうしたらいいのか、わからないんだ。
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