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10話にしおりをはさみました!
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10話
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ちょっとおじさんの昔話に付き合ってくれるかな?そう言って笑う信明さんに頷くとまた一つ頭を撫でてくれた
俺は信明さんのこの安心出来る笑顔が小さい頃から大好きだったな、なんて思いながら
ー最初はね、多喜の翔悟君に対する気持ちはずっと大好きなお友達なんだと思っていたんだ
翔悟君と出会った頃の多喜は本当に大人しくてね…自分の気持ちを表現する事が苦手な子供だったよ
私の突然の転勤でこの街に引っ越して来た時多喜は傍から見ても分かる位元気が無かったな
親である私もね、多喜が学校に馴染めるかどうか凄く心配だったよ
こればかりは親はどうする事も出来ないからね
子供には子供の社会があるからね?
でもね、ある日学校から帰って来ると多喜が凄く楽しそうにしてるのよ!って早苗さんが嬉しそうに教えてくれたんだ
あぁ、多喜もやっと友達が出来たんだねって早苗さんと喜んだよ
そのお友達が翔悟君だった
多喜は君と出会ってからとても変わったね
それは親からすればとても嬉しい変化だった
日を追うごとに明るくなって年相応の笑顔を浮かべる多喜がね、ふとご飯を食べてる時に聞いて来たんだよ
ー何で僕はしょーちゃんが大好きなのに結婚出来ないの?って
社会の時間に婚姻制度について習ったんだろうね
先生が結婚は思い合ってる男性と女性が一つの家族と言う社会を作るって言ってたけど、それは僕としょーちゃんなら無理なの?って聞いて来るんだ
その瞬間にね、この子は友情とはまた違う思いを翔悟君に抱いてるのかな?って思ったよ
思春期特有の同性や異性に関係なく強い憧れを抱く気持ちなのか、または恋愛感情なのか判断が付かなかったんだ
結局その純粋な疑問に私は答えることが出来なくてね…多喜がもし大きくなってそれでも同じ様に思うならお父さんも多喜と一緒にその疑問に悩んでも良いかな?その時は1人で悩まずに教えて欲しいって伝えるしか出来なかった
それから暫く経ってね…高校受験が終わってすぐ位かな?凄く真剣な顔で多喜が相談があるって言うんだよ
内容は聞かなくても分かったさ
あぁ、この子はいつの間にこんなに大人になったんだろうなぁって
自分で悩んでそして答えをもう出したんだろうなって分かったよ
それでも相談してくれるのが嬉しかった
多喜は翔悟君の事を好きだときっぱり言ったよ
たぶん普通なら異性に感じるはずの気持ちを翔悟君に抱いてる…だけど自分は翔悟君以外を好きになった事が無いから同性愛者なのか異性愛者なのかは分からないって
だけどいつか翔悟君にその気持ちを隠し通す事が出来なくなるかもしれない
そして万が一翔悟君が自分の気持ちを受け入れてくれたなら自分は父さんや母さんみたいに当たり前の家庭を築く事は出来ないと思う
って言うんだよ
ごめんなさいって謝るんだ
私も早苗さんもねそう言う葛藤とは無縁でこの歳になってしまったからね、だから多喜の気持ちを完全に理解する事は出来ないのが現実だ
それでも何で多喜が謝る必要があるんだろう?って思ったんだよ
人を好きになるのは相手の性別で惹かれるからじゃない
相手の中身を好きになってしまったら性別なんて言うのは二の次なんだね
たぶん私も早苗さんが同性であったとしても好きになってしまうと思うからね
もし誰かがそれを間違ってるって否定しても私達は味方でいると多喜に伝えたよ
結婚は一つの手段であってそれに囚われなくても良いんだ
結局私達は多喜が幸せに翔悟君と笑って過ごしてくれれば良いんだからね
だから翔悟君も驚いただろうけど、何も心配する事は無いからね
そう言って笑ってくれた信明さんの気持ちが嬉しくて
以前と変わらない早苗さんの笑顔が嬉しくて
隣で幸せそうに多喜が笑うから俺もやっぱり笑ってしまったのだ
「しょーちゃん良かったね」
ん?待てよ?もし俺が多喜の気持ちを受け入れなかった時はどうするつもりだったんだろう?
「ねぇ、多喜?もし俺が断ったらどうするつもりだったの?」
「え?なるべく考えない様にしてたなー…でも振り向いてくれるまでアタックすると思う!」
無邪気に笑う多喜を見て能天気さに思わず笑ってしまう
戯れる多喜と俺を見て信明さんと早苗さんがこっそり話してる事を知る由もなかった
「でも、つまり外堀を埋めるって事よね?たーくんは最初から翔悟君を手放す気が無いって事じゃないかしら?」
「そうかもしれないね」
「そう言うところ本当そっくりよね?」
「まぁ、親子だからね」
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