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4-44にしおりをはさみました!
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4-44
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ほとんど終電に近い時間の在来線に乗り継いで、いつもの最寄り駅にたどり着いた。ようやく往復六時間ちかくの、蒔田の電車の旅が終わる。
ホームから改札、それから部屋へと続く見慣れた坂道へと黙ってついてくる深山は、地元の駅で言っていたように、蒔田の部屋に来ることを最初から決めていたようだった。
×××
「お邪魔します」
深山が、初めてのときのようなことを呟きながら、蒔田に続いて玄関のドアをくぐると。
「お帰りなさい」
蒔田の口から、思わずこぼれた。
それを聞いて、また深山の目の湿度が増したように感じるけれどそれは見ないふりをした。
部屋に荷物をおいて(といっても、二人ともほとんど、身一つで出ていたから貴重品とコンビニで買ったものくらいだが)
「なんか、食べますか…それとも、もう遅いし、」
シャワーでも、と続けようとした蒔田に、
「ここで、逃げんなよ」
「…ですよね、」
深山がローテーブルの脇に座って、ここに座れとでもいうように自分の隣の床を指で叩いた。
「続きは部屋で」そう言った。それを思い出して、かしこまって蒔田はその示された場所に正座をする。そんな蒔田を見て、深山は嘆息しながら呟いた。
「俺としては、もういいんだけど」
座れといいながらもういいとは。
もう、関係をリセットしたいということか。
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