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絶望と希望.7にしおりをはさみました!
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絶望と希望.7
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桜side
「違う。お前は悪くない…今……助けるから」
ごめんなさいと何度も繰り返した俺の中に、那雪の言葉が染み込む。
それだけで、救われた気がした。
『ほんとうはちがうのに』
「なゆ――――――…」
名前を呼ぼうとした瞬間、複数の足音に振り返る。
そこには、黒い服を着た男達がいて。
その中の一人の腕には…赤い刺青で蜘蛛が描かれていた。
「…ちょ、うわ放せッ……!!」
「何なんだよあんたら!?紅佑を放せッ…ぐぁッ…!!痛……」
一人が紅佑の腕を取って車に連れ込もうとして、
葉佑が止めようと男に飛びかかったが、
男達に腹を殴られて倒れさせて紅佑と共に車に連れ込まれてしまう。
「……ッ…放せよ…ッアンタら誰だよッ…!!
痛ッ…放せ!!二人は関係ないッ…!!嫌ッ…止めろ!!…ッあ、うぐッ……!!」
二人は関係ないのに。
助けようと必死に抵抗したが、弱っている身体じゃ何も出来なかった。
鳩尾に男の拳が入って、痛みから意識が飛んでいく。
薄れゆく意識の中、那雪が自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。
*****
冷たい、コンクリートの感覚がする。
それと……沢山の人達の声。
「……ッ…ぅ…ん……」
目を開けると、どこかの倉庫みたいな所で、身を捩ると、両手足が縄で縛られていた。
動く身体で回りを見渡すと、少し離れた場所で縄に縛られた二人の姿。
まだ何もされていないで眠っている様子で、俺は安堵の息を吐いた。
「ほぅ、目が覚めた様だね」
蔵根さんとその部下達が奥からやって来て、
その部下の数人を見て、俺達を拐ったのは蔵根さんなんだと知って、
下唇を噛んだ。
「ごめ…ッ…桜君……」
聞き慣れた声に顔を上げると、
ボロボロになった白羽さんが首輪に繋がれて蔵根さんに引っ張られていた。
「…ッ……!!白羽…さ…」
『ほら、じぶんのせいでみんなみ~んなきずついた。
ようすけも、こうすけも、しらはねさんも』
「天宮、お前は俺からは逃げられないさ。
おとなしく白羽のように従順な犬になれば良いのに主人に噛みつくから、
こうなるんだよッ……!!」
ジャララッと鎖が音を奏でて白羽さんが地面に叩きつけられた。
「お前ら、白羽と天宮とヤっていいぞ」
蔵根さんの言葉に、身体を強ばらせる俺と白羽さん。
男達の歓声に、「ぅ…ッ…ん…」と葉佑と紅佑が起きてしまって。
「ぉー蔵根さん!あのコらもヤっていいいッスか?」
「嫌ッ…止めて下さいッ……!!葉佑達には触らないで……!!
俺が…皆さんの相手…しますから…ッ……」
取り巻きの一人が、葉佑達の所に行こうとするのを、俺は必死に止めた。
汚れきった身体で葉佑達を守れるのなら、何でも良い……
一瞬、那雪の笑顔を思い出して……胸が苦しくなった。
――――――…皆、ごめんなさい……
遠くで犯されていく俺を止めようと、名前を呼ぶ声を聞きながら……
俺は謝罪を繰り返した。
『ぜんぶ、おれのせい……
おれがにげなかったら、あのさんにんはシアワセだった
おれが、こわした』
俺の声をした幻聴が、俺を非難し続けていく。
本当にな……と苦笑いを溢して、男達の肉欲の海に意識を落とした。
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