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2ー07にしおりをはさみました!
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2ー07
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「ぃやっほぉぉぉー!!!」
上半身に勢い良く吹き抜ける風。
何度も視界がぐるぐる回り、どこが上なのか下なのか分からなくなってくる。
隣に透也さんが座って居ようが恥ずかしげも無く前後の絶叫に紛れ、他の同乗者と一緒に両手を上げて叫べば爽快感がたまらない。
人生初となるジェットコースターはそれはもう楽し過ぎて、すっかりハイテンションになってしまった。
それから俺達は勢いそのまま色んなアトラクションを渡り歩く。
上から落下するヤツや、でっかい振り子みたいなのも楽しくてハシャいでいると、突然背後から右肩を掴まれた。
驚いて振り向くと透也さんの気難しい顔が更に深まっていた。
少し青ざめている気もする。
「楽しいのは分かるが少し落ち着け…流石に絶叫マシン連発は堪える」
疲れが伺える低音に俺はやっと状況を理解した。
しまった、俺とした事が楽しすぎて調子に乗りすぎた!
「す、すみません俺ばっかり楽しんでましたね」
「いや、それは構わない。ただ少し…休憩しよう」
「それなら何か飲み物買ってきます。透也さんはココで待ってて下さい!」
そう言って半場無理やり透也さんを近くのベンチに誘導した。
すると透也さんがベストの内ポケットから財布を取ろうとしてる事に気付いて、俺は慌ててそれを制する。
「俺が出しますから!というか出させて下さい!」
「?…別に気にしなくても」
「俺を誘ってくれたお礼、あと連れまわしたお詫びもしたいんでお願いします!」
そこまで勢い任せで言えば透也さんも分かってくれたのか、仕方ないなと小さく笑ってくれた。
そして大まかな希望を聞いて、俺は近くのフードコートへ軽く小走りで向かう。
二人分の飲み物を小さな行列に並んで購入し、戻ろうと踵を返すと透也さんが数人の女の子グループに囲まれているのが見えた。
遠目で見ても皆可愛くて、何か透也さんに話しかけているみたいだけど…距離があるせいで会話の内容までは聞こえない。
何となく戻りずらく感じて足を止めた。
こうして見てるとやっぱりあの人はモテるんだな。
まぁ同性の俺から見ても…イケメンの部類だとは思う。
サッカーも上手いし、聞いた話じゃ頭も良いらしいから俺に足りないモノ全部持ってて、正直羨ましかった。
だけど…何でだろうな。
さっきから透也さんが話しかけられてるのを見ていると、胸の奥がモヤモヤする。
今まで阿呆みたいに晴れやかだったのに。
もしかして絶叫マシン乗りすぎて今更乗り物酔いしてんのかな、だっせーな俺…と、溜め息を吐くと
。
「あの…すみません」
「へ?!何!」
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