アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
その主人、奮闘にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
その主人、奮闘
-
その執事、抑制の続きです。
「さ、坊っちゃん。まずはご自分の朝食を盛りつけてください。」
朝風呂から出て着替えた僕に、セバスチャンが言った。
「ああ。」
「・・・と、その前に。坊っちゃん、こっち向いてください。・・・クス、ボタンをつけ違えてますよ。」
お着替えぐらい1人でもできるようにならなくてはね、と言いながら、セバスチャンは僕が10分かけて留めたボタンをあっさり直していく。
(ちゃんとできたと思ったのに・・・)
「練習すれば、ちゃんとできるようになりますよ。・・・はい、できました。盛りつけの続きをお願いしますね。」
セバスチャンに促されて、お皿にポーチドサーモン、ミントサラダ、玉ねぎとベーコンのスコーンを盛りつけていく。
(なんでセバスチャンみたいにできないんだ?)
「坊っちゃん、盛り付けにもコツがあるのです。私のマネをしてやってみてください。・・・ほら、この下にレタスをひくと彩りもきれいでしょう?」
言われた通りに見よう見まねでやってみる。
今度は自分でも上手く盛れたと思った。
「お?坊っちゃんがこんなところにいるの珍しいな!」
バルドが厨房にやってきて、驚いている。
「バルド、見てください。坊っちゃんが上手に盛りつけしてくれましたよ。」
「本当だ!坊っちゃん、才能ありますよ!なんなら毎日お願いしたいくらいだ。」
「それはお前の仕事だろう・・・。」
呆れた顔をしながらも、初めてやったことを褒められるのはなんだか嬉しい。
自分で盛りつけた朝食はいつもよりおいしく感じた。
「さて、次はお掃除を致しましょう。私はベッドメイクを致しますから、坊っちゃんは拭き掃除をお願いします。」
はい、と雑巾を渡されるシエル。
「どこを拭けばいいんだ?」
「机の上とソファーを拭いてください。それが終わったら、花瓶の水も替えてください。」
「ん。」
「そうだ、坊っちゃん。濡れるといけませんからその前に腕捲りしてくださいね。」
袖をグッと持ち上げて、雑巾で丁寧に拭いていく。
相変わらずノロノロした動きだが、シエルはなんだか楽しそうだ。
(これを持ち上げて・・・次はソファーだな)
(まるで年相応の子どものようですね。)
そのとき、部屋の前をメイリンが通りかかった。
「坊っちゃん!雑巾なんて持ってどうしたんですだか?」
どこか汚いところがあったですだか?と慌てるメイリン。
「違いますよ、メイリン。坊っちゃんがお手伝いしてくださっているのです。」
「そうなんですだか?机ピッカピカですだね~!坊っちゃん、すっごいお上手ですだよ。」
「・・・ソファーも拭いた・・///」
「本当ですだ!坊っちゃんのおかげで助かったですだ。ご褒美に飴あげるですだよ。」
(掃除も悪くないな・・・//)
もらった飴を大事そうにポケットにしまうシエルがとてもかわいい。
(さっさと根をあげると思っていたのですが・・・がんばりますね。)
アフターヌーンティーの後、2人は庭に出た。
「次は庭の草むしりです。いつもなら除草剤の散布機を使うのですが・・・・昨日、誰かさんが壊しまして、まだ修理中なのです。」
セバスチャンがフィニをじと目で見ながらシエルに言う。
「うわーん!セバスチャンさん、坊っちゃん、ごめんなさーいっ」
「はあぁ・・・と、いうわけですので坊っちゃんとフィニは手袋を着けて、雑草を抜いてください。帽子もちゃんとかぶってくださいね?日射病になったら大変ですから。」
「坊っちゃん、お手伝いですか?偉いですねっ!!」
「僕が草むしりなんて・・・今日は特別だぞ?」
「では、ここはお2人にお任せいたします。私は花を切り揃えますので。」
「坊っちゃん、がんばりましょうね!」
「・・・ああ。」
草むしりをしながらなにやら2人は暴れん坊伯爵の話で盛り上がっているようだ。
「あの決め台詞がカッコイイんですよね!」
「そうだな・・・ってフィニ!それはハーブだぞっ!!」
「えっ!?あ、危なかったあ・・・またセバスチャンさんに怒られるところでした!ありがとうございます!坊っちゃん、物知りなんですねー!」
「・・・///お前も庭師ならハーブくらい覚えろ・・」
「『ファントムハイヴ家の庭師たるもの、ハーブくらい覚えられなくてどうします?』」
「ぷっ・・・セバスチャンのマネか?」
「はい!似てるでしょう?いつもメイリンとバルドとモノマネしてるんです!」
「いや、あんまりだな。もっと得意げに言わなきゃダメだな。」
(所々聞き捨てならない会話が聞こえてくるのですが。坊っちゃんが楽しそうなので今回だけ、多目にみましょうか・・・。)
夕方になり、ようやく一段落ついた。
「坊っちゃん、フィニ、お疲れさまでした。ずいぶんたくさん抜いてくださったのですね。」
「坊っちゃんのおかげで1人でやったときの倍以上抜けましたよ!それに、坊っちゃんとお話しながら草むしりするの、楽しかったです!」
「ぼ、僕も・・・悪くなかった///少し腰が痛いけどな。」
「それはよかった。では、夕食にいたしましょうか。たくさんお手伝いしてお腹がすいたでしょう?」
「・・・盛りつける・・///」
「クス・・・ではお願いします。これで今日のお手伝いはおしまいですよ。がんばりましたね。」
盛りつけをしたシエルは、満足そうに夕食をとっていた。
(疲れた・・・けど、新鮮な1日だったな。)
お風呂に入って一気に疲れが出たのか、うとうとしながら寝室に戻った。
「ん・・・もう寝る、セバスチャン。」
「お疲れでしょうからね。・・・私からのご褒美は明日にいたしましょう。」
・・・ハッ!
僕はバカか!なに普通にお手伝いを満喫してるんだ!
ご褒美がメインのはずが、すっかり忘れてた・・・。
でも眠いし・・・。
「無理しないでください。ちゃんと差し上げますからv」
「やく・・・そく、だぞ・・。」
「おやすみなさい、シエル。」
もうまぶたが重くて開けていられない・・・僕はゆっくりと目を閉じた。
.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 21