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好きな人の失恋は自分の失恋でもある。にしおりをはさみました!
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好きな人の失恋は自分の失恋でもある。
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「り、林檎...」
「!」
草薙先輩の顔が、少し赤かった。
もしかして、意識してくれた?そう思った矢先だった。
「邪魔」
「!柳瀬」
後ろから現れた柳瀬先輩に、草薙先輩は頰を赤らめる。
僕がやっと意識して貰えたと思ったら、この先輩は直ぐに持って行ってしまった。
こんなに頑張った僕よりいとも容易く。
「林檎、またね」
「はい...」
草薙先輩は柳瀬先輩の後を追って行ってしまった。
草薙先輩も、片思いしてるんだよね。
必死、だよね。
「僕だって、必死だもん...」
ポツリと零して、大人しく教室に戻った。
その後の授業は自習になって、苦手な古典の教科書と睨めっこしながらふと外を見れば草薙先輩の姿が目に入る。
(体育だったんだ)
サッカーしている草薙先輩もかっこいい。
「ぁ...」
小さく、声を漏らしてしまった。
だって草薙先輩、体育着の裾で汗を拭いた。
そのせいで腹筋丸見え。
かぁぁっと、頰に熱が集まった。
そしたらその熱に気が付いたように草薙先輩がこちらを見上げた。
そして少し見た後に、僕だって気付いたみたいで大きく手を振ってくれた。
だから僕も、控えめだけど手を振った。
これが恋人としての行為だったら、この幸せは何倍に膨れ上がるのだろう。
もっと草薙先輩と話をしたい、隣にいたい、あわよくば独り占めしたい。
そして、名前を呼んでほしい。
郁って。
今度、我儘を言ってみようか。
そしたら草薙先輩はきっと優しいから、呼んでくれるに違いないんだ。
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