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好きな人の失恋は自分の失恋でもある。
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「どうしたの?いきなり」
「噂で聞いてっ...でも草薙先輩から聞かないと、本当か分からないから...」
泣きそうなのを堪えて、平静を取り繕う。
「そっか。林檎は偉いね。噂に惑わされない、良い子だよ」
良い子、良い子と僕の頭を撫でる草薙先輩。
苦しいんです、そんな事されたら。
不意に、前髪をかきあげられた。
「ふぇ?」
「林檎、前髪を切っ方が似合うと思うよ。折角綺麗な顔してるのに」
「....草薙先輩に言われたくないです」
「俺?」
「草薙先輩は、かっこいいです...」
「ありがとう」
あぁ、辛い。
「林檎?どこか具合悪いのか?」
「大丈夫ですっ、もう行きます」
草薙先輩の手を振り払って、図書室を出る。
触れられた場所が熱い。
「....前髪、切ろうかな」
直ぐに真っ赤になる顔を隠したくて、伸ばしていた前髪。
そんなコンプレックスよりも草薙先輩に褒められたことの方がよっぽど自信持てた。
***
「うぇっ?!お前、林檎か?!」
「う、うん...変?」
「いやいやいや!!!何それ!!前髪避けたらイケメンとかどんなラブコメだよ!!」
「い、イケメン...?」
「いや、可愛い?うん、可愛い系?」
「.....」
「あれ?林檎?嬉しくねーの?」
「カッコイイ系がよかった」
前髪を切って、教室に入れば周りから驚かれた。
皆んなには可愛いと言われたけど、僕はカッコイイが良かったんだ。
だって草薙先輩が好きなあの人はカッコイイ人だから。
「く、草薙先輩」
「あ、前髪切ったんだね林檎。よく似合ってるよ」
わざと玄関でウロついていれば、草薙先輩が登校してきて声をかければ嬉しい言葉。
嬉しくて嬉しくて、頰が緩んだ。
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