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手に入らないもの。にしおりをはさみました!
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手に入らないもの。
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「伊吹、ごめんね」
雀から発せられたのは、別れ話ではなく謝罪の言葉だった。
「久野と、林檎から話を聞いて伊吹が何に悩んでたのか大体分かった。気付いてあげられなくて、ごめんね。俺、軽率な事言ったよね」
何で久野と林檎が出てくるのだろう。
その答えはすぐに雀が言ってくれた。
「久野は、柳瀬と伊吹の事知ってるんだって。それでね、ぐっちゃぐちゃにしたって言った伊吹の言葉で無理矢理した事だって分かったんだって。
それで林檎が、そういえば初めては好きな人としたいよな?って聞かれたって。
それで全部繋がったんだ。伊吹は初めては俺じゃない事を気にしてくれてたんだって」
説明しながら、ゆっくりと頭を撫でてくれる雀。
その手はとても暖かかった。
「大方、一昨日の告白聞いてたんでしょ?ごめんね、あんな言い方で断ったら気にしちゃうよね。本当にごめん。
柳瀬の肩を持ったのもごめんね。伊吹はいっぱいいっぱいだったのにね、苦しかったのにね」
ひたすらに、だけれど1つ1つにごめん、と謝ってくれる雀。
だから、俺も自分の気持ちを素直に吐き出す事が出来た。
「俺も、雀の事大嫌いって言ってごめん....本当は、大好きで、好きでたまらないくらい......っ、ごめん...」
堪えてた涙が溢れだして、言葉に詰まりながら謝る。
「いいよ。言わせちゃったのは俺だから。ねぇ伊吹?俺は伊吹の恋人としての初めてはちゃんと貰うからね。うんと甘やかして、その前を忘れさせてあげるくらいに蕩かしてあげる」
普段無表情の雀が、妖艶に微笑んで。
涙が止まる。
あぁ、あの時告白した子はこんな気分だったんだって思った。
だって、だって。
俺、今すぐ雀のものになりたいんだ。
だから。
「す....雀?」
「ん?どうしたの?」
「抱いて....?」
「.......」
そう言ったら雀が固まってしまったから、やっぱりダメかなって悲しくなって。
じんわりと涙がぶり返して。
ちらりと雀を見た。
「....伊吹」
「な、なに?」
「今日は学校サボろうね」
俺を抱き抱えて、雀は言った。
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