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戦闘訓練にしおりをはさみました!
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戦闘訓練
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柏木のために作ったリゾットを柏木はしきりにおいしいおいしいと褒めちぎっていた。
疲れた体に、最近はまともにご飯を食べていないようだったのでリゾットにして正解だった。
やはり最初思った通り、この部屋はちょうど春樹の部屋の真上のようだった。
ベランダに出て横を見ると、寝室にもベランダがついていた。
あれ、と思って横の寝室のベランダの下を前のめりになりながら見ると、春樹の寝室のベランダの真上にやはり柏木の寝室のベランダがある。
これはなんとも・・・こんなのが親衛隊にばれたら制裁物なのではないだろうか。
まぁ、実際このベランダを使ってどうこうしようとは思ってないのでそんな心配もいらないのかもしれないが。
「じゃ、帰りますね」
「あぁ、また”明日”な。あと、メール待ってる」
時間も時間だったので明日に備えてもう寝ようと自室に戻ろうと柏木に挨拶をすれば、玄関まで付いてきてそう言った。
あぁ、そうだった。
メール、を最初は送ろうとしてたんだった。
「はい、また後で送ります」
「明日からさっそく戦闘訓練が始まるなぁ」
「ん？」
春樹が返事をすれば、感慨深げにそうぽつりと溢す柏木。
なんで急にそんな事を言い出したのだろうか？
不思議に思って首を傾げる。
「戦闘訓練は全校生徒一緒だろう？それは親臨学園も一緒だろう？」
「え、あぁまぁそう、ですね」
それが何かあるのか？
「清水がどんな感じで戦うのか、興味があるな」
「ふっつーですよー。可もなく不可もなくってとこですかねぇ？そんなこと言ったら会長の方が俺的には気になるんですけどねぇ。聞きましたよ？生徒会は全員上位ランカーだって」
にんまりと笑いながら柏木に聞く。
自分でも意地の悪い笑みを浮かべているなぁとは思うが気になるもんは仕方がない。
それに、他の生徒会は潰すつもりでいるけど肝心の会長をもし潰してしまったらと思うと、ほんと笑えない状況になるのでなんか見分けるヒントとかもらいたいところだ。
あわよくば、どんな人物として、どんな二つ名で行動しているのかぐらいは早々に気付きたいところだ。
「あぁ、まぁ、なぁ」
なんとも歯切れの悪い返事だった。
「俺、もし会長と当たってもやりたくないんすけど？」
言外に二つ名を教えて欲しいと伝えてみるが、そこにはやっぱり困った顔をした会長がいた。
「俺もお前と当たってもやり合いたくはないんだが・・・戦闘訓練の俺はまだ誰か教える訳にはいかない」
「・・・まぁ俺も教えられないっすから無理にとは言わないんですけど、ね・・・」
やっぱり教えてもらえないようだ。
どうやって会長と他の生徒会を見分ければいいのか・・・内心どうしようかだなんて途方に暮れるが、現段階ではどうしようもないので潔く諦める。
そのまま、「じゃあ」と言って部屋を出ようとすればぐいっと後ろから腕をひかれる。
「うぇ！？」
変な声を出してしまったが、これは仕方ないと思いたい。
まったくの予想外だったんだ。
腕をひかれれば後ろにいる会長の体が背中に当たる。
玄関の扉に手を置かれ、玄関と会長に挟まれる形となってしまった。
もう片方の手はナチュラルに俺の腰に腕をまわしている。
近い距離にまたもや心臓が意味もなく騒いだ。
「見つけてくれるか？」
耳元で囁かれた言葉に思わず肩がびくりと跳ねてしまう。
「え？」
もうぶっちゃけ話聞くどころじゃなかった。
むしろ全然聞いてなかった。
会長の低い声が耳元を擽ったことしか分からなかった。
春樹はもう一度聞こうと首を後ろに回した。
思ったより会長との顔の距離が近くて、しまった。とどこかで思ってしまった。
「俺を、見つけてくれるか？」
もう一度、はっきりと目を見て言われた言葉を理解するのにそう時間はかからなかった。
春樹は言葉を発することが出来ないまま、微かに首を縦に振ることで返事をした。
少しの間、二人は視線を交わらせる。
「なら・・・」
沈黙を破ったのは、春樹の掠れた声だった。
「なら、俺の、ことも、見つけて・・・くれますか？」
少し驚いたような表情をした柏木は、次いで微笑んだ。
「あぁ、」
その返事を聞いた後、春樹は柏木の部屋を後にした。
ベットに沈み込んで枕に顔をうずめる。
恥ずかしくてたまらない。
会長のあんな表情を見ていると俺の何かが騒ぐ。
なんで俺のことも見つけて、なんて言ってしまったのか。
会長になら俺を知ってほしいと、そう思ったのだろうか？
知り合ってまだ１日だ。
それでも、色濃く、鮮明に会長は俺の中に根付いている。
とにもかくにも、戦闘訓練が始まってからだ。
生徒会及び、学園での権力者を潰すのも、会長を見つけるのも。
悩むのはその時でいい。
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