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優しい体温にしおりをはさみました!
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優しい体温
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「ごめん、遅れた」
うっすら開けた目の先で待ち望んでいた遥海が心配そうに覗き込んでいた。
僕の横に片膝を付き跪く姿は本物の王子様そのもの。
彼の大きな手が僕の腕と口にあるネクタイを取り除き、自由を取り戻すことが出来た。
「……うそ」
未だ信じられない光景に、抑えていた涙が自然と溢れていた。
次から次へポロポロこぼれる雫を遥海の手が拭ってくれる。
暖かくて気持ちいい手。
頬にある手を無意識に掴み握り締めていた。
「もう大丈夫だから」
小さく震えていた僕の背中に逞しい腕が回り、遥海の胸に強く…強く抱き締められた。
「大丈夫。泪…俺だから」
「く…ぅ……遥海ぁ…」
鼓膜を揺らす声が僕に安らぎをくれる。
この温もりに包まれて初めて僕は怖くて怖くて堪らなかったんだと自覚した。
自覚したらしたで涙が止まらなくなって、益々ひどくなって、まだちょっとだけ怖くて。
ピッタリと隙間を無くすように遥海の胸にしがみついて嗚咽を漏らしていた。
「無事でよかった」
「ふ…ぇぐ……無事じゃ、ないっ…」
クズ男に押し倒されてシャツを外されたんだから、全然無事じゃないし!
他の奴に触られるとか気持ち悪かったし!
そんな思いを乗せて遥海を見つめると、遥海はチュッと額にキスを落として頭を撫でてくれた。
「そうだよな…ごめん」
「ヒッ…ぅ……バカ…」
額のキスを口に欲しくて、突き出した唇。
遥海はフッと息を付き、僕の望む通りに口付けをくれる。
優しい体温が唇から伝わって、僕の心を暖めてくれる。
やばい…好き…。
離れていこうする唇を追いかけて今度は僕からムニュっと下手くそに合わせた。
もっとして欲しい。
首に腕を回してうっすら唇を開いてハムッと遥海の下唇に悪戯を仕掛ける。
うっすら瞼をあげると、遥海の切れ長な瞳が僕を見つめていた。
いつ見ても綺麗な目...。
見惚れて目が離せなくなってしまった僕と、僕を魅了する遥海。
お互いに見つめあったまま、スルリと僕の唇を割って滑り込んできた遥海の熱い舌を受け入れる。
激しいものではなく、僕をいたわるかのように甘く優しい。
「ン…ぁ……」
舌先をから順に触れ合い、絡め合わせ、なぞられる。
遥海の動きに応えようとするけど、僕の動きは拙くて下手くそだ。
でもそれに合わせてくれるようにしてくれる遥海とのキスは、精神的にとても気持ちよかった。
「遥海……」
唇が離れ、温もりが遠のいたことが寂しくて名前を呼んぶと、遥海はフワッと表情を緩め、僕の頭をポンポン撫でた。
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