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ぐちゃぐちゃ。 side弌にしおりをはさみました!
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ぐちゃぐちゃ。 side弌
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ほんの少しの気持ち悪さは残っていたけど、胃の中のものは全部吐き出してしまった様でそれ以上吐くことはできなかった。
トイレの水をながしてリビングへと戻る。
机の上の食べかけのハンバーグがやけに陽太のいない悲しみを助長させる気がした。
付き合って二人で暮らしはじめた頃、陽太が好きだと言ったからハンバーグの作り方を覚えた。
初めて作れるようになった料理だった。
それからどんどんレパートリーを増やしていって、色々な料理が作れるようになって。
その料理を二人で[美味しいね]といって食べる。
幸せな日常。
いつからだった?
陽太の帰りが遅くなったのは。
帰ってきて今日はご飯はいらない、と陽太が微笑むようになったのは。
静かな部屋で独りで食事をする事に死ぬほどの悲しさを感じたのは。
気づくと自分がさっきまで食べていたハンバーグをごみ箱に捨てていた。
副菜につくったサラダも、よそったご飯も。
イライラして悲しくて、惨めで悔しくて。
感情の全てを相殺するように。
少し悩んだけれど、陽太の分のご飯も捨ててしまった。
どうせ帰ってきても食べないかもしれないから。
陽太が浮気をし始めてから、何度も別れを切り出そうとしたけれどできなかった。
俺には陽太しかいないから。
ならいっそこのまま死んでしまおう、とも思った事もあった。
けれど遅くに帰ってきた陽太に愛しげな顔でキスをされるとそんな事ができるはずもなくて。
不毛だ、惨めだ、と思っても陽太にまだ愛されていると考えてしまう。
陽太のせいで心が千切れて、陽太のおかげで心が満たされる。
ごみ箱の中の食物達が、哀れで、汚らしくぐちゃぐちゃになっていて。
まるでいまの自分の様だと思った。
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