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優越感の理由。にしおりをはさみました!
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優越感の理由。
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更に、追い打ちをかけるように都にむかって、「、な?」と、同意を求めると、都が俺がしつこいのを知ってかゆーーーっくりとあの時のようにうなづいた。
……ほらな、どーだ。、!
いつもならずっと無視され続けていた俺が、都をうなづかせている!!ふふん!!!
……よくよく考えたらそんなに大それたことでもないが、都のことをやっぱりよく知っている酒井さんはまたしても都がうなづいた事に驚きを隠せないようで、
「……っ、みみみ、ミヤくんが、本を読んでるのは知ってるけど、……っ、……なんで逢坂くんは本の貸し借りなんて、……っ…」
焦ってそんなことを言う酒井さんの顔には見るからに"ショック"と書いてあるようで、ついつい写真を撮ってしまいそうになった。
さっきは「逢坂くんなら、ミヤくんと分かり合えるかも」なんて大人発言してたくせに、実際こうやってミヤが誰かに少し懐き始めるとどうもイラッときてしまうらしい、……笑
……それは、酒井さんがそれだけ都の事を我が子のように大切にしてきたってことなんだよな……。多分……
……まぁ……そっとしておいてやろう…
「……んで、都、。こっちがフェニックスの初期の作品ね、……それでこっち晩期、。……んで、これはフェニックスの描いた戯曲の台本で、すっげぇ貴重なやつで…………、、、」
俺は都の方を向いて紙袋から数冊を出し、軽く都に説明をする。
これくらいの一方的な説明じゃさっきのように都がうなづく事はないが、心なしか嬉しそうにほんの少しだけ口の口角が上がっているような気がした。
すると、
「、……フェニックスねぇ……。ちょっと私に見せてくれないかい、……?」
さっきからのショックをまだ消化できてない酒井さんがなにやら負けじと俺たちの会話に混じりこんでくる。
……、あれ、笑……なんか酒井さん可愛い、wwww
「……アメリカの作家なんすけどね、……もしかして知ってます?」
優越感とかそういうの無しに、俺の大切な尊敬するフェニックスの作品を誰かが知っててくれたら何よりだ。……しかし、
「…………、うーん……、やっぱり知らないなぁ、……私も結構本は好きな方だと思っていたんだけど、……」
酒井さんは、はぁ……とため息をつきながらそういって肩を落とした。
……やっぱりしらねぇか……
「……いや、普通は多分知らないと思いますよ、なんせ数が出回ってないんで、。ーー……俺だって都がこの本読んでるの見た時はびっくりしましたし〜……」
「…………」
「……まぁ、作者自身が書いたらそれで満足するっていう放任主義者なんでそれはしょうがないんすけど、。……しかも内容も内容で結構アングラなんで…、ははっ……だから好き嫌いも結構別れるんすよね〜」
ついフェニックスの事になるとベラベラ喋ってしまう。
そして気づくとそれが酒井さんにとっては嫌味に聞こえていたようで、……シーーンと静まり返った部屋の中、酒井さんの鋭い俺を睨む視線だけが痛く俺に突き刺さった。、
いやいやいや、……っえ、……べつに嫌味とかじゃねえんだけど、……!!!!(焦り)
そう気づくのもすでに遅く……気付いたらなんだか部屋の中の空気が気まずいような感じになってしまっていた。
、……ああああ……やべ、どうしよ、、……
(こういう状況がすごく苦手)
……、なんか、……なんかなんか、話題転換……、
「……あ、……っと…〜……、……それにしても、フェニックスが好きなんて都も変わりモンだよな〜……、っ〜?じゃあ、あれとかも好きそう、ユリウス、!」
あははは、と完璧に誰が見てもつくり笑いだとわかるような表情で俺は都に話しかる。
もともと話すのも会話も苦手な俺はこういう時どうしたらいいかわからず、……とりあえず本当に誰も知らないような超マイナーな作家を言ってみた。
……これで、都が「知らない」といつも通り俺のことを無視して、だよな〜!ってなって、「逢坂くん、どんだけマイナーなの……」って酒井さんに笑われる、……っていう俺の予想。
そうなれば、この気まずい空気ともおさらばなハズ!
………………、だったのに、
「…………っっ、」
何の気なしにそう聞いた俺のその言葉に都が明らかにピクッと反応し、さっきまでとは違う表情で俺のことを見た。
「…………、……へ、……」
なにその反応、……
「……え、……もしかして、……ユリウス……知ってるとか、、……?」
全く自信がなくてそうか細い声で聞く俺。
ーーーーー……いや、……いやいやいやないないない。
……、確かにユリウスは少しフェニックスと雰囲気が似てる作家で俺のすげえ好きな作家だけど、…、、、
…………っでも、んなこと言ったって、ユリウスはフェニックスよりもさらに入手困難な本だし、なんてったって戦時中のチェコの作家で全然有名じゃねえし、普通にネット検索にすらあんまり出てこねえし!!!!
……多分それきっと、ユリウス違い……
そうおもってたのに……
都がなにやらゴソゴソと動き出して、自分の白衣のポケットから小さいメモ用紙とペンを取り出し、カリカリと何かを書いて俺に見せてきた。
そこには、この前よりも少し乱れた英語で俺の言ったユリウスの代表作のタイトルが書かれていた。
それを見た瞬間に俺の中で気まずい空気とかそんなことどうでもよくなって、
「……お前、……まじか、っ、!!!!」
今までで一番大きい声でそう叫んで、ガシッと都の腕を掴んでいた。
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