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朝と幸せにしおりをはさみました!
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朝と幸せ
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翌日。
学校に登校し、玄関に入ったとき九城くんが靴を履き替えているのが見えた。
「おはよう、九城くん」
「おー、おはよ。昨日は大丈夫だったか?」
「うん、ごめんね、迷惑かけちゃって」
「いや別に、迷惑とか思ってねぇよ」
優しい、優しいよ九城くん。
今まで怖くて理不尽な不良だと勝手に思い込んでてごめんなさい。
心の中で謝り、一緒に教室までの廊下を歩く。
「氷室と大泉、最近仲良くなってたよな。ケンカでもしてたのか?」
「いやいや、そんなのじゃないよ!俺が勝手に落ち込んでただけだから…」
「へー。まぁでもあれだろ、仲直り出来たんだろ」
「うん。…そーいえば九城くんと大泉くんって結構話すよね」
「あぁ、中学同じなんだよ。中1の時から一緒に野球やってた。まぁ俺は途中で辞めたけどな」
「え、2人とも野球してたの!?」
「あぁ。ま、知らねぇのも当たり前か。あいつも俺も、野球やってた面影ないからな」
な、なんか意外だ。
九城くんまで野球してたなんて。
九城くんの話によると、大泉くんは結構凄い選手だったらしい。
でも、だったらどうして、高校で野球しなかったのかな…。
大泉くんの野球してる姿、見てみたいなぁ、なんて……。
そんなこと思っていると、いつの間にか教室に着いていた。
「あ、九城、おはよう。……と、氷室?珍しい組み合わせだな」
先に教室に入った九城くんに、もう既に登校していた大泉くんが挨拶する。
そして影からひょっこり現れた俺に驚いていた。
「おう」
「おはよう、大泉くん」
「ん、おはよ」
爽やかな笑顔を浮かべた大泉くん。
背景にバラが咲いてるような気がした。
と言うか、大泉くんと九城くんが並んだらなんか……アイドルが目の前にいるみたいだ。
2人とも背高いし、イケメンだし…。
……本当に俺って、彼らといても大丈夫なのだろうか。
少し取り戻していた自信が、また俺の中に蓋をしてしまいそうになる。
そうやって考え込んでいると、大泉くんがいつの間にか目の前にいた。
「氷室」
「ふぇ!?」
大泉くんの両手が、俺の頬を包み込む。
突然のことに驚いて変な声を出してしまった。
心臓がドキドキとうるさいほどに高鳴って、全身が熱くなるように感じる。
多分顔も赤いだろう。
「氷室お前また、変なこと考え込んでただろ」
「!!」
「ネガティブだめ!」
「…………」
「返事は?」
「はっ……はい!」
俺の返事を聞いた大泉くんはにっこりと笑った後、手をはなした。
び、びっくりした…。
まだうるさい心臓の音と、まだ頬に残る彼の体温を感じながら、俺はちょっと幸せだと感じた。
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