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楽しみと元カノにしおりをはさみました!
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楽しみと元カノ
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朝大泉くんが登校してきたとき、案の定クラスメイトに質問攻めされてた。
また付き合うのかって聞かれたとき、それはないって否定してたけど…。
そんな感じでモヤモヤしてたらあっという間に放課後になって、俺は学校を出た。
「氷室!」
「あ、大泉くん…」
学校の方から走ってきた大泉くんは、俺に駆け寄ってきた。
爽やかすぎるよ大泉くん。
「明後日、だよ。覚えてる?」
「も、もちろん!楽しみすぎて毎回チケット眺めてるんだー」
「ははっ、俺も楽しみでさ、見えるところに置いてあるんだ」
楽しみにしてくれてるんだ…。
あ、でも、あれか。
大泉くんが楽しみにしてるのは俺と出かける事じゃなくて成瀬吾郎さんに会うこと………だよね。
俺はどちらかと言うと、大泉くんと出かける方が嬉しいかも、なんて。
あー、なんか俺だけ恥ずかしい。
そんなことをひとり悶々と思っていたら、ふと大泉くんが歩みを止めた。
「ん、大泉くん?」
後ろを振り返ると、大泉くんは冷めた目で前を見つめていた。
初めて見る目で、少し驚く。
いつもは、温かみのある優しい目をしているのに…。
って言うか、何見て……。
そう思って、大泉くんの視線を追うと、その先には、とてもきれいな、髪の長い女の人が立っていた。
そこで俺は、何故か悟った。
彼女は、大泉くんの元恋人だと言うことを。
「和正……」
女の人は彼の名前を呼び、愛おしそうに彼を見つめていた。
「………なんの用?」
「朝の話の続き」
「あれはもう終わった話だろ。行こう、氷室」
「えっ、大泉くん?」
大泉くんは俺の手を掴んで、彼女の横を通り過ぎようとした。
「待って…!」
彼女は大泉くんの手を咄嗟に掴んでひきとめた。
「私ね、明後日の成瀬吾郎の握手会のチケット当たったの。だから、ね?一緒に行きましょう?和正好きでしょ?」
「…………氷室と行くから」
大泉くんはそれだけ呟くと彼女の手をふりほどいて俺の手を引き歩き出した。
一体、どうしたんだろう。
いつもの大泉くんじゃない。
チラリと後ろを見ると、女の人はこちらを見つめたまま佇んでいた。
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