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俺の元カノ
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あの女の名前は五十嵐祥子。
中学の時付き合ってた、俺の初めての恋人だ。
俺にとって祥子は、全てが『初めて』の対象だった。
初めての恋人、初めてのデート、初めてのキス、初めてのセックス。
本当に『初めて』を、全て彼女に捧げた。
でも、祥子は………。
「………ん…………ずみくん…………………………大泉くん!」
「ッ!」
名前を呼ばれてハッとする。
どうやらずっと氷室の手を掴んで歩いてきてしまったらしい。
立ち止まって掴んでいた手をはなした。
「ご、ごめん……」
「ううん、大丈夫……」
掴んでいた手をちらりと見ると、相当強く掴んでいたのか氷室の手首には痕が残っていた。
「あ、ごめん、本当……」
手首の痕に気付いた氷室は少し驚いた表情をしたがすぐににこりと微笑んだ。
「本当、大丈夫だから気にしないで!」
……かっこわる、俺。
昔のこと思い出して余裕なくなるとか…。
それに、氷室にも気を遣わせてしまった。
「…ごめん、俺、用事あったの思い出した。先行くね」
「あ、うん……また明日…」
ほら、そうやってすぐに逃げる。
俺の悪いくせだ。
でもごめん、氷室。
今の俺には、逃げることしか出来ないんだ。
氷室に嫌われたくないから。
本当は惨めで、嫌な奴だなんて、知られたくないから。
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