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監禁生活。--傷.痣跡.2(功太side)--にしおりをはさみました!
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監禁生活。--傷.痣跡.2(功太side)--
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「功太っ、ただいま!」
覆われた布団の外から
やけに高い声で蒼の声が聞こえた
だが功太はなんの反応も見せず
ただ布団の中で蹲る
眠ったふりをしていれば
返事をしなくても怒られないはずだ...
安易な気持ちで布団へ潜り込んでいたが
そんな考えは甘かった
「仕方ないなぁ..」
そんな声が聞こえたと思うと同時に
布団に手を掛けられた事に気付く
光が差し込んだ事で捲られたと理解した
顔を見られたらまずいと思った功太は
咄嗟に蒼の手から布団を取り返す
「....起きてたの?」
さっきとは違う低い声に
功太は
しまった、と自分のとった行動を恨んだ
蒼は無視されることが嫌いなんだ
返事を、しなきゃ....
「..お、おかえりな、さい....」
布団越しに小さく呟くが
蒼からの返事は無い
鼓動が痛いくらい大きく胸を打つ
息を止めるように乱れる呼吸を整えようとすると
だんだんと篭り始めた熱気で
余計苦しさが増す
「起きてるなら顔見せてよ。僕今日ずっと寂しかったんだよ...」
さっきよりは穏やかな口調で
蒼は呟くが功太はそれに答えることができない
返事しなきゃ..
でもなんて言えばいいんだろう
嫌だ?無理?
いや、そんなこと言ったらきっと怒る
でも顔は見られたく無い...
そんなことを一人頭の中で考える
「功太、顔見せて」
次に聞こえた声はさっきよりも
穏やかさは欠けていたが
寂しそうな色を纏っていた
無視してるわけじゃないが
返事のしように困っている功太の行動は
結果的には無視している状態と同じだった
どうしよう...
返事しなきゃ....
返事しなきゃ.....!
「ねぇ....」
少しつまり気味に聞こえた声に
怒りの感情が無いことに
心のどこかで安心していた自分がいた
だがそんなことはなかった
ガッと布団が握られたのが布団越しに伝わる
「....どうして無視するの!?顔見せてって言ってるのに!!」
急に発せられたその荒げた声と行動に
驚きながら少し強めに布団を握るが
予想していたよりもずっと大きな力で
布団を奪い取られた
目の前に悲しげにも怒りの表情を浮かべた
蒼が立っていた
だがその目付きの鋭さはすぐに消えた
驚きのあまり声も出せないのか
口は開いたままだ
功太もそれに気づくと同時に
慌てて自分の顔を両腕で隠した
「どうしたのそれ....功太...?」
必死に隠す様子に
蒼も混乱しながら問いかける
「何でも...ないっ...」
見られたくなかったのにっ...
でも逃げることも出来なければ
隠れる事も出来ないのに
見つかるに決まってる
ばれないようにするなんてできるわけなかった
「何でもないって.....何だよそれ....っ!誰にやられたのっ!?」
蒼は顔を隠して自分から逃れようとする
その腕を掴む
「....っい”あ”っ!...ぃ..離し、て...っ」
あまり力を込めたわけでも無いのに
悶絶する様に悲痛な声をあげた功太に
また驚いた顔をみせる
蒼はまさか...とは思いながらも
片手で手首を掴むと
もう片方の手で袖を捲り上げた
「...ぁ、やっ....!」
功太が小さな抵抗をしてみせるも
蒼の目に映ったものはごまかせなかった
「....誰が..こんなっ.....誰にやられたの!まさか白井にされたの...?!」
無数の痣に気づき
蒼は声を荒げながらも
まだついていかない頭を整理しながら
功太を問い詰める
功太は小さく首を横に振る
白井では無い
でも萩堂だって事はいえない
誰にされたなんていえない
言ったら理樹が同じ目に合うから....
「じゃあ誰にっ!!?」
蒼の責めるような言葉が胸に刺さり辛い
「何でもない....からっ...」
隠せるわけないとは分かっているが
犯人を言えるわけもなく
功太自身もどうすればいいか分からない
何でもないと言うしかできなかった
「何で隠すんだよ!功太にこんなことする奴、僕は絶対に許さない!!見つけ出して殺してやる
...!!...ねぇ、誰にされたの!?言ってよ!」
掴んだ手首を握り締め
半狂乱気味に蒼は吠える
「..いたっ....蒼...っ、手、離してっ...ぁ”っ」
蒼の剣幕や答える事のできない憤り、痛みが
思考を停止させる
どうしたらいいか分からない
「離さない!功太がちゃんと答えるまで...絶対に離さない!!言ってよ、誰にされたんだよ!僕の言ってる事が分からないの!?」
もはや冷静さを失った蒼は
功太を怯えさせ、苦しめる存在でしかなかった
「...っ。俺は大丈夫だから...別にいい...からっ、もういいだろ....」
「いいわけないでしょ!!!?僕の功太を傷付けるなんて許さない...絶対に許さない!!!」
血走った目で睨みつけられ
功太は緩く下唇を噛む
俺はお前のものじゃない.....
「蒼様っ、何事ですか..」
慌てて駆けつけた白井は
手首を掴んで離さない蒼と
傷だらけの功太を見て驚愕する
功太は初めて無表情以外の白井を
見た気がした
だがその顔はすぐにいつもの表情に戻る
「...どうされたのですか」
「誰かが僕の功太を傷付けたヤツがいるんだ...許せない...」
蒼の呟きに白井は一瞬眉を上げる
そして口を開くと冷静な口調でこう告げた
「...恐らくですが犯人はきっと、萩堂様だと思います」
白井の言葉に蒼は目を目開き
信じられないと言った表情を見せている
功太は自分の口から言ったわけでもないのに
萩堂の脅しを思い出し背筋を冷やした
理樹だけにはこんな酷い目にあって欲しくない
もし白井や蒼が自分の身に起きた一連の流れを
萩堂に伝えてしまうと
バラしたときっと理樹に手を出すはずだ
そんなのは嫌だっ....
「...萩堂がーー「違うっ!!!」
蒼が何かを呟いたが
否定するように声を上げた
「萩堂じゃ、ない....!」
白井と蒼の視線が注ぐ中で手に汗を握りながら
嘘を吐く
「全部、俺が自分でやった....」
信じてもらえるかもらえないかなんて
考える事すらせず
ただ誤魔化そうと思う一心で
功太は真実ではない事を呟き続けた
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