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監禁生活。--傷.痣跡.3--にしおりをはさみました!
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監禁生活。--傷.痣跡.3--
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二人の目を見なくても
今、自分に突き刺さる視線が怖い
嘘が通じるような相手ではない事くらい
心の何処かで知っていた
だけど
こうしていないと自分の身がもたなかった
「何言ってるの功太.....?」
蒼のその声は戸惑いを感じさせたが
明らかに信じているようではなかった
「蒼様が先ほど見つけました足跡は萩堂様のものと思われます。以前、応接間にて相談依頼をした際も靴のまま入っておられましたので...。」
その時掃除した足型に類似してました、と
白井は呟きながら二人のいるベッドへ近付く
「それに....何故、萩堂様のお名前をご存知なのですか?」
ベッドに横たわりながら
手首を押さえつけられままの功太へ問いかける
功太はさっきその口でしっかりと
萩堂じゃない、といった
それが白井には耳に残っていたのだ
「何故って.......あの時の、体育館倉庫で...あいつが、言ってたから.....」
「萩堂様は依頼屋です。依頼を受けている時に自分から正体を明かす人がいると思いますか。嘘を付くのは止めなさい」
目を泳がせながら答える様子に
鋭い口調で返した白井は見下すように功太を見る
功太は白井を一瞥した
ついた嘘をすぐに見抜かれた事に
動揺を隠せなかった
この視線の前では嘘はつけない....
「起き上がりなさい、確認したい事があります」
白井は反対側に回り込み蒼の横へ移動した
蒼は整ったその顔立ちに目立つ傷を横目に
掴んでいた手を引く
それにより嫌でも上半身を起こす事になる
「...っ、....う...」
少しだけ呻きながら起き上がると
完全に伸ばすと痛みを訴える背中を丸める
白井は躊躇いなくその服を掴むと
捲り上げた
「...っ!」
なんの抵抗もできず
露わにされた背中には大きな痣が見受けられた
蒼の息を飲んだような声が聞こえる
隠したかったものが次々と晒されていく
功太はまた緩く下唇を噛んだ
白井は前屈みの上半身を無理矢理
後ろへ引き起こす
また小さな呻く声が聞こえる
後ろから抱えるように肩を支え
次に前方から服を捲り上げた
功太は背中よりも多数浮かぶ痣に
蒼の目が釘付けになっている事に気づく
白井の手を払うように服を下ろした
白井もそれと同時に支えた肩から手を退け
功太から離れた
「どうして萩堂の事を庇うの!?なんで隠そうとしたの!?何で僕に教えてくれなかったの!?」
蒼の声は悲しげにも感じるが
責め続けるように功太に問いただす
功太は腹部の前で組んだ腕を
キュッと締め、俯いた
言えない.....
だが答えなければ蒼が怒る
さっきからこのジレンマに襲われ
功太の思考を乱していた
「口封じでもされているのでしょう。例えば....『バラせば橘理樹に被害が及ぶ』などと言われたのではないですか?」
その言葉に功太は俯いた顔をあげ
白井を見開いた目で見つめた
(なんでこいつはなんでも分かるんだ....)
目に映る白井の顔は無表情だったが
どこか得意げにも感じさせた
功太のとったその行動は
白井の言った言葉が事実である事も証明していた
「そうだったんだ.....橘を庇って、僕の質問に答えてくれなかったんだね...」
蒼のその声は僅かだが確実に
怒りを纏っていた
だが功太の頭は別の事でいっぱいだった
「あ、あいつには....萩堂にはこの事、言わないで....っ!」
バラされればきっと理樹が.....
理樹には何もしないで...
俺はどんな目にあってもいいから
理樹だけは......
「どうして?」
理樹への思いを頭で綴っていると
予想していない問いを投げかけられた
功太が何も言わず悲しげな目で
蒼を見ていると
蒼の方から口を開いた
「萩堂にバラされれば橘が酷い目に合うから?」
「...っ。」
言葉を失った
蒼が言った言葉全てが功太の言いたいこと
そのものであった事と
それはきっと蒼の望まない回答だと言うことが
痛い位に分かるから
下唇を噛み俯く素振りをみせる功太に
蒼は奥歯を噛み締めた
何であいつの事ばっか考えてるの?
僕の言うことに従わないのに
橘を餌にした萩堂の言うことは従うの?
許せない
蒼は黙り込み
下を向いた功太の前髪を力強く掴み
自分の顔に向き合わせる
傷の目立つその顔を更に歪ませ
悲痛に声をあげる
今にも泣きそうに潤んだ目に映る蒼の顔は
悲しみよりも怒りに満ちているように見えた
「僕よりもあいつが大事なの...?」
冷めた声が耳に刺さる
ギリギリと掴む力は弱まることはない
「....っ、ち、違っ..!」
「違くないっ!!僕の言う事は聞けないのに、あいつを庇って萩堂の言う事を守るんだろ!?.....功太は僕のものなんだよ?まだ分からないみたいだね......」
功太が言い訳をするよりも早く
蒼は怒りを露わに片方の口角を吊り上げ
徐々に声を静かにしながら呟く
それがまた一層の恐怖を生む
髪を握る手を離したと思うとほぼ同時に
右頬に重く鈍い痛みが走った
「....っあ”!」
熱くなり始めるそこを抑え
蒼に目を向けるとまた拳を高く振り上げていた
ーーー嫌、だ
「っゔぁ!」
こめかみ辺りに痛みが走ると同時に
少しだけ視界が歪み、
ベッドに倒れ込む
萩堂にも散々殴られて来たのに
どうしてまた
こんな目に合わなきゃいけないんだろう
何でこいつは俺の事を好きだと言うのに
こんなに痛めつけて来るんだろう
.....分からない
「...ゃ、蒼っ....痛い、よ....や、めて..っ..」
痛みでなのか恐怖なのか悲しみなのか
涙が込み上げてくる
俺が何したって言うんだよ...
何でこんな目にあわなきゃいけないの.....?
お願いだから、痛いのはやめてーーー
だが蒼はまるで耳に入っていないように
蹲る功太の腕や肩に拳を入れ続ける
「許せない!許せない許せない許せないっ!!僕はこんなに好きなのに!!何であいつなんだよっ!!何でっ....!!!!」
収まらない暴力の嵐に
功太はただただやめてと小さな声を漏らし
耐えるしかなかった
それを見兼ねた白井が蒼を軽く抑え
その手を止めさせる
肩で息をする蒼とは相反して
虫の息の功太は震え怯えていた
「...っ、あ....っ...」
涙を流しながら声にならない声を漏らし
蹲るその様子はとても痛々しかった
だが蒼は心配をする様子は一切ない
「...その汚れた身体、僕がご飯食べてる間に綺麗に洗ってね。着替えは用意しておくから」
傷の手当もする事はなく
そう吐き捨てると
一人部屋から出て行った
白井もその後を追うように出て行く
部屋で一人ベッドの上でまた涙を流す
汚れた身体...?
萩堂に殴られたから?
ここへきて確かにもう十分汚れた気がする
理樹が辛い目に合うなら
全部俺が変わってあげたいと心の底から思う
だけど
やっぱり痛いのは嫌だよ....
怖いよ....
理樹に会いたい
何で俺、こんな目にあってるの?
何であいつは俺の事をここまで苦しめるの?
何で.....
萩堂からの暴力も蒼からの暴力も
功太の身体だけじゃなく
心をもぼろぼろにしていた
俺はもう永遠にここから
出る事は出来ないのかな
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