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監禁生活。--汚染(蒼side)--にしおりをはさみました!
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監禁生活。--汚染(蒼side)--
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耐えられなくなり部屋から出たはいいが
何も考えず歩き出してしまった蒼は
とりあえずダイニングに向かった
功太の怯えた顔や
痛々しい傷が鮮やかに蘇る
(きっと痛かったし辛かっただろうな.....)
自分のとった行動に少し反省する
萩堂に散々甚振られたあの身体を
感情のままに傷付けてしまった
本当なら、あの時抱き締めてあげるべきだし
そのつもりだった
だけど
功太が心配しているのは
あの場合でも橘の事だった
いつまでも功太の心に居座る彼の存在が
とても憎らしかった
好きになってもらわなくてもいいなんて
思ってたけど
それは蒼が自分に言い聞かせていただけで
本当は真逆だった
功太に好きって言われたい
思われたい
橘よりも。
そう考えながら辿り着いた
ダイニングのソファに座り込む
蒼のとっている行動が
功太の好意を呼ぶことなんてあり得ないのだが
今の蒼には理解できなかった
制服のブレザーのポケットから
携帯を取り出し、カバーを見つめる
(今日は功太と沢山色んなお話ししようって
決めていたのにな.....)
この謎のキャラクターを始め
好きな食べ物や好きな色とか
自分の知らない事を聞きたかったのに
予想していない出来事が重なり
それどころではなくなってしまった
自分のとった行動に頭を冷やす
するとダイニングの扉が開き
白井が入ってきた
「蒼様...大丈夫ですか?」
心配そうな表情を浮かべ蒼の前に来る
蒼はその白井の顔を見つめ
力無く笑って見せた
「僕は全然....功太の方が、心配.....。」
いいながら視線をそらし
自分の携帯につけた功太のカバーに目を落とす
「僕、本当は大丈夫だよって言ってあげようと思ってたんだけど、功太はやっぱり橘のことばっか考えてて.....っ」
いいながらギリギリと奥歯を噛みしめる
携帯を握る手にも力が入る
「蒼様のお気持ち、お察し申し上げます」
白井は淡泊だが辛そうにそう告げた
「ありがと.....僕、功太にちゃんと言う。大丈夫だよって、怖かったねって。」
そう言いながら蒼はおもむろに立ち上がった
「功太の着替え、用意してくる。」
白井は、少し微笑み頭を下げた
蒼は扉を開け、出て行く寸前に後ろを振り返った
それに気付き白井も振り返る
「どうかなさいましたか?」
「あのね...今日の夕飯、トンカツ食べたい!白井の手作りのやつ....食堂よりも、完璧でめっちゃくちゃおいしいやつ!」
蒼の言葉と笑顔に白井も自然と笑みが溢れる
「かしこまりました」
白井の返事を聞くと
嬉しそうに、うん!と言いながら
部屋を後にした
自分の部屋に戻る廊下を歩きながら
功太に着せる服のコーディネートを考えていた
角を曲がった瞬間に
壁にもたれ掛かりながら
辛そうに足を運ぶ功太の姿が目に映る
自分でもわからないが
何故か慌てて引っ込み隠れる
そしてそっと覗き込む
足を進めては止まり、また進めては止まり
その度に漏れる声とその姿は実に痛々しかった
「...功太.....」
さっき自分が殴ってしまったのも
きっと辛かったはずだ
あとで謝ろう.....
功太の姿が目に焼き付き胸が痛む
深呼吸して角から自分も姿を現した
だが功太を見ることはなかった
功太が立ち止まり自分を見ているのがわかったが
功太に自分が吐き捨てた言葉や
申し訳ない気持ちなどが入り交ざり
どうしても目を合わすことが躊躇われた
大人気ない行動をとった自分が恥ずかしい。
そんな気持ちが強かった
功太の横を素通りし
自分の部屋に辿り着くとタンスから服を取り出す
部屋から出て行く寸前に
荒らされたベッドに目がいく
「綺麗にしてあげよう...」
シーツを左右から引っ張り整え
布団をはたきながらシワを伸ばす
ずれた枕を元の位置へ戻すと
シミになったシーツに目がいった
引っ張った枕から透明な糸が伸びる
独特な匂いとその色は
男なら知らない人はいないはずだ
「これ功太の....?」
功太はこんなことまでされたのか?
それとも萩堂の?
シーツを汚すその液だけを見ても
誰のものなのかは分からない
とりあえず
功太は殴られただけじゃないんだ
萩堂に対する怒りが込み上げるが
それよりも、
功太を心配する気持ちが高まる
(功太....辛かっただろうな....)
口をギュッと締め
分かるはずもない功太の気持ちを考えると
シーツと枕カバーを剝ぐ
それと着替えを持って風呂場に向かった
たどり着いた脱衣所にある洗濯機の中に
すべて突っ込むと
棚の上に置かれ丁寧に畳まれた服も
洗濯機の中へ放った
着替えを棚の上に置く
水の音が響くドアを見つめる
功太にもっと優しくしてあげよう....
(僕が功太を守るんだ)
蒼は心でそう誓うと脱衣所をあとにする
部屋で功太の帰りを待つ事にした
帰ってきたら今度こそ
優しく、包んであげよう...
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