アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
感慨にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
感慨
-
蚊の鳴くような声だったけれど、ヴァンは聞き取れたみたいで
暫(しばら)く目を見開いて驚いていたが、フッと笑って頭を撫でてきた。
「どういたしまして?」
そうされるのは何故か嫌じゃなかった。
でも、そう感じているのを知られたくなくて
「止めて下さい…」
「悪い悪い」
ぶっきらほうに頭に置かれていた手を払い落としたのに
ヴァンはまだ嬉しそうだった。
「あ、少しここで待っていてくれ」
「え。あ、はい…」
そう言うと、小走りでどこかへ向かっていった。
彼の姿が人混みに消えるまで見送ってから、近くにあったベンチに腰を下ろした。
さっき撫でられた箇所に触れてみる。
大きくて、温かい手だった。
いつかの温度と似ているような気がした。
ボーッと俯(うつむ)いていると急に視界が陰った。
戻って来たのかと顔を上げると
そこには
見知らぬ男性が三人
俺を見下ろしていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
80 / 493