アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
17にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
17
-
腕の中に閉じ込めて、面白いくらいにビクビク跳ねていた身体が、くたりと力なくして静かになる。
帝は、ホールドしていた腕を解き、密着していた肌を離した。馨のふわふわした髪をそっと撫でると、それは帝の指に優しく絡んだ。やけに心地よくて、自然と微笑みが出る。
そして、熱を解き放った楔を抜けば、後孔からは白く濁った蜜が細い太腿を伝った。
「カット、カットー!」
「馨!」
監督の声が響いた直後、三津田が素早く馨の元へ近づいてくる。
「馨……ああ、馨」
その手には何枚かのバスタオルを持っていて、馨の身体を冷やさないように、せっせと包める。
情けない顔と、情けない声。
帝は、眉を寄せた。
「みっちゃん来るのはやーい」
それでも陽気な声を出して、三津田を手伝おうと手を伸ばした、その時だった。
パン、と乾いた音が響く。三津田が、伸ばしてきた帝の手を弾いたのだ。
「触るな……馨に、触るな」
その表情と声は、馨に向けたものとは大違いだった。
背筋が凍るような瞳と、腹の底から感情が湧き出た声音。
ひゅ、と帝は息を飲んだ。だが、その後に込み上げてきたのは笑いだった。
まだ、残っている。あの名前がまだ残っている。
──早く戻ってこい、『リオ』。
「……ご馳走様」
帝は、前髪を掻き上げ、綺麗な弧を描いた唇をペロリと舌で舐めた後、そう言い放った。
馨をバスタオルで包んだ後、三津田は馨を抱いて監督の元へ足を運んだ。
「監督。この後のチェックのことなのですが、時間をずらして頂けませんか」
監督は、馨を見て苦笑する。馨がこの状況では、チェックどころではないのだ。
「ああ、そうだね。また後日にでもしようか。馨ちゃんの体調もあるだろうし」
「助かります。では、また改めて連絡しますので」
三津田は一礼し、静かにスタジオを去っていった。
張りつめた空気が抜けない中、監督の引き上げの一声にスタッフ、ギャラリー共々、ぞろぞろと引き上げていく。
「何してくれてるんですか。早く謝りに行ってくださいよ」
そんな中で帝にバスタオルと、水の入ったペットボトルを投げつけてきたのは、帝のマネージャー、菅原だった。
度が過ぎた行動をした帝に腹を立てているらしく、いつもより乱暴だ。眉間に皺を寄せ、似合わない眼鏡を何度も上げている。
「わかってる。けど、今行ったら、みっちゃんに本気で殺されるから後でな。次の仕事は? まだ時間あんの?」
帝は、ペットボトルの蓋を開けて、水を一口飲んだ。思っていたよりも、喉が渇いていたらしい。喉を潤す水が心地よくて、菅原の説明を聞きながら、再びペットボトルに口をつける。
「次は雑誌のグラビア撮影です。撮影場所も近いですし、2時間ぐらいなら大丈夫かと……って聞いてます?」
「聞いてるっての……というかさ、くくっ、お前、さっきのみっちゃんの顔見た? すんげー怖かったなー」
思い出すだけでゾクゾクするあの感覚。久々に感じた懐かしい雰囲気。
暢気に笑う帝に、菅原は溜め息をついた。
「本当に勘弁してくださいよ。俺、三津田さん相手じゃ、頭上がりませんよ」
「頭上がらない、ねえ……でも、欲しいなあ……馨」
菅原の溜め息の理由も考えずに、何気なく軽く口にする帝。頭を抱えるのは、もう数え切れない。
「はあー、遊びもいい加減にしてくださいね」
「遊びじゃねえよ?」
「は……」
目を閉じて眼鏡のブリッジを押さえると、帝の声の色が突然変わった。何事かと思い、帝を見れば、真っ直ぐな視線で射抜かれ、菅原は言葉を失う。
「なあ……誰が、遊びつったの?」
さあ、と血の気が引いた。
ゆっくり紡がれた言葉は、鋭利な凶器となって菅原に突き刺さった。
真剣な瞳から一変して、帝はニコリと笑う。顔を青くしている菅原の肩をポンポン叩き、撮影セットから足を踏み出した。
「……なあんてなー。じゃ、時間になったら連絡頂戴?」
「……わかりました」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 37