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31本目､もどかしい。※にしおりをはさみました!
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31本目､もどかしい。※
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｢…口開けて｣
｢っはぁ…｣
言われた通りにすると笹窪さんはまた舌を入れてくる。
人気(ひとけ)のないこの場では二人の吐息とリップ音のみがいやらしく響いている。
笹窪さんは服を捲(めく)り上げ腰を撫でてきた。
｢はぁっ…あ…くすぐったいです…」
｢いい反応だね…。それと敬語が結構ヤバイ…」
優しく擽(くすぐ)るように撫でられる。
指が腰に当たる度に触られたところがビクビクとしてくすぐったいのはもちろん､それが快感へと繋がっていく。
どんどん変な気持ちになっていく僕は自分のこんな姿が笹窪さんに見られていることがみっともなく思えてくる。
｢笹窪さんっ…そこばかり…」
｢…じゃあ他にはどこを触って欲しいの…？」
答えにくい質問に戸惑っていると､笹窪さんはそのまま腰を撫でながら胸を舐めてきた。
熱い舌が突起部に当たる度に快楽が僕を襲う。
初めてのこの感覚は痺れるようにゾクゾクとして､腰がヒクつく。
｢っ笹窪さん…ぁ…んん…う､はぁ…｣
｢反応可愛いね…」
たまに甘噛みをしてきたり指で抓(つね)ってきたり…。
ひとつひとつの動作全てに体が敏感に反応をする。自分では制御がきかないほどに声が漏れてしまう。
｢ぁん…あｯ…ぅ……恥ずか…しい……｣
｢何が恥ずかしいの…？｣
｢…全部､恥ずかしい…ですｯ…ん…｣
そう言うと笹窪さんはまたニヤリと笑う。
そして胸の先を指先でピンと弾くように動かし僕の体がビクビクと動いているところを眺めてくる。
段々と下半身がもどかしくなってきた。
もう今すぐにでも下を触って欲しい。
そう伝えようとするも､言葉が喉の奥でつっかえて出てこない。そんな破廉恥なことを僕は言えない。
何とか伝わらないものかとただひたすら笹窪さんの目を見つめた。
｢何？…物欲しそうな顔だね。足りないとか？」
笹窪さんは手を下に伸ばしズボン越しに摩(さす)ってきた。
｢ひぁｯ…！？｣
して欲しかったことをされたというのに恥ずかしさとこの先へ進む恐怖心が心を支配していく。他人に触られているこの感覚が未知すぎて目の前がチカチカするようだった。
笹窪さんは僕から一切目を離そうとはせず､全ての反応をじっくりと見てくる。
｢やだ…み､見ないで…ください…｣
｢俺も嫌だ…もっと見せて…？｣
僕の体は自分が思うより何倍も敏感で､もはや目が合うだけで腰のあたりがゾクゾクとしてくる。
｢はぁ…ぁ…んんっ…ん…」
笹窪さんはズボン越しに触れてくるだけで動かしたりはしてこない。
ただ触れられているだけで体中に電気が走る。
｢紅野くん……いや､歩生」
｢んんｯ…」
ふいに下の名前を耳元でボソッと呼ばれてドキッとした。
僕の下の名前を覚えていたんだ。
そうか､さっき長野さんが“歩生くん”と呼んでいたからかな。
と一瞬他のことを考えるもすぐに目の前に戻される。
｢どうしてほしい…ここ､疼いてる」
｢焦らさないで…くださ…いっ…はやく､触って…」
｢こんなビクビクいわせて…｣
発情期のせいなんだ。
今こうして笹窪さんとこんなことになってるのも､僕が大胆になってしまっていることも。
全てオメガ性特有の発情期のせいだ。
普段の僕は…こんなに人に体を触らせたりはしないのだから。
｢や…やだ…笹窪さん…｣
｢上から触ってるだけでもこんなに反応するんだね」
｢言わないで､言わないで…ください…っ恥ずかしいです…あ…ぁん…」
笹窪さんは僕のズボンのベルトを器用に外した。その手を見てドキドキが止まらない。
全身が心臓なのではないかというくらいドキドキしている。こんなにも鼓動は頭からつま先にかけて響くものだっただろうか。
僕より大きい手､細く長い指…。
この手で僕のをこれから触る…？
｢ｯう…はぁ…は…ぁ…」
｢歩生？脱がせてるだけなのに…どうしたの？」
笹窪さんはわざとらしくゆっくりとズボンを下ろす。それがいちいちもどかしくてずっとゾクゾクしていた腰が砕けそうだ。そろそろこの感覚が足にまで伝染しそうだ。
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