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5月18日(月) 性分にしおりをはさみました!
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5月18日(月) 性分
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事の始まりは、少し前。
「終わったー」
6限目終了のチャイムとともに、僕は机に突っ伏した。
「じゃあなー、高原」
「おー」
後ろから聞こえる仙座の声に、伏したまま手を上げて答える。
今日の授業も難しかった…。
このままでは、来月に迫る中間テストがやばそうだ。
「……」
…雪町に教えてもらおうかな。
「……」
…そうしよう。
僕はがばっと起き上がり、鞄を背負って教室を出た。
「───なぁ!」
1組の教室まで来て、中から出てきた生徒に声をかける。
「なっ、なに…?」
少し怯えた風に、そいつは僕と距離をとった。
「雪町、いる?」
「えっと…」
彼は教室を覗き込んで、手近にいたクラスメイトに声をかける。
「雪町くん、見てない?」
「あぁ、雪町なら…」
短い会話を交わし、僕の方へ戻ってきた。
「雪町くん、三年生の教室に行ったって」
「そっか、ありがと!」
返事をすると同時に僕は走り出す。
…なんで三年の教室なんかに。
ちらりとそう思ったが、考えても分かることではない。
全部、本人に聞けばいい。
そして、階段を上って三年生の教室前廊下に出た時。
上級生に絡まれている雪町と雛貴を見つけた。
「───雪町!!」
よく見ると、夜久もいる。
「高原…?」
突然現れた僕を見て、雪町と雛貴は驚いた様子。
「なんだおまえら」
夜久と僕に挟まれて、先輩たちは眉間にしわを寄せる。
「先輩方こそなんですか、二人となに話してるんですか」
僕はすたすたと歩み寄った。
「何って、こいつらが三年の教室に遊びに来たからさぁ」
「おまえらと話に来たんじゃない…」
雪町は大層機嫌を損ねているようだ。
いつにも増して口が悪い。
「離れてください」
僕は先輩たちと雪町の間に割り込んだ。
彼らの視線が僕に集中する。
「なんだおまえ、関係ねー奴は引っ込んでろ」
「関係ならあります」
「どんなだよ、雪町と付き合ってんのかおまえ」
けらけらと笑いながら、先輩は僕をからかうようにそう言った。
「…!」
…そうだ。
付き合ってることにしてこの場を───
「───違う、付き合ってなんかない!」
僕の考えを砕くように、雪町が真後ろで声を上げた。
「あ…」
折角、穏便に済むかもしれなかったのに。
「じゃあ、関係ねーよな?どけよ」
先輩たちは安い威圧感で僕を睨んでくる。
「どいて欲しかったら、力づくでどうぞ」
僕はわざと、嫌らしく口角を持ち上げて挑発した。
「おい、高原…」
雪町の声は、聞こえないふりをする。
相手の数は6人。
県内最強と言われていた兄から、直々に喧嘩の仕方を教わった。
僕の敵じゃない。
「…イキんなよ、チビ」
先輩の手が僕の肩に触れる。
その瞬間、僕は軽く腕を振ってそれを弾き飛ばした。
「っ…!」
一瞬驚いた先輩が、敵意を剥き出しにして殴りかかってくる。
「……」
読み易すぎて簡単な一撃。
身を低くしてかわした僕は、下から先輩の顎を叩き上げた。
「ぐっ…」
ひとり、床に伏せる。
多分しばらくは動けない。
「くそが…!」
残りの全員が、一気に襲いかかってくる。
僕は目の前の相手と一気に距離を詰め、みぞおち狙って拳を叩き込んだ。
そして即座に振り返りながら、後ろのひとりの首を蹴り飛ばす。
───久しぶりの喧嘩は、ひどく気持ちがよかった。
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