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6月15日(月) くじ引きにしおりをはさみました!
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6月15日(月) くじ引き
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テスト明けの教室は、どこか気の抜けた感じがする。
俺の前の席の高原が、それを体現していた。
爆睡。
「───あと、借り物競争と棒倒しが余ってるんだけど…」
黒板の前で、体育祭実行委員の雛貴が教室を見渡す。
「まだ参加種目決まってない人ー」
教室内は静まり返った。
「じゃあ、二回出てもいいよって人ー」
ふと思い出して、俺は手を挙げる。
「あ、頼人くん出てくれるの?」
「いや、こいつ」
そう、俺の目の前ですやすやと眠るこいつだ。
「柊…」
"あー"と雛貴は納得したような顔をする。
「余ってるやつ、2つともこいつ入れといて」
「いいかな」
「俺があとで言っとくから」
これから、学校は体育祭の支度で忙しくなり始める。
特に大掛かりな練習はないが、この後のくじで"ハズレ"を引くと厄介なことになる。
「よし、全部決まったから…次は応援合戦のくじ引きだね」
そう言って、雛貴が取り出す箱。
その中身は、応援合戦の衣装を決めるくじ。
この学校の体育祭では、奇数クラスが"東軍"、偶数クラスが"西軍"となって戦う。
応援合戦では、それぞれの軍の衣装に着替えて応援歌を歌うのだが…。
「はい、次の人ー」
くじを引き終わった生徒たちで教室が賑わう。
「……」
俺は深呼吸をして、箱の中に手を突っ込んだ。
中の紙を漁り、これだと思った一枚を引き抜く。
広げた紙に書いてあったのは。
「───!!!!」
"チア"の二文字。
「あ、頼人くんチアかー」
「……終わった」
応援合戦の衣装は各軍に二種類。
東軍は軍服かチアリーディング衣装。
西軍は新選組の衣装かセーラー服。
各軍、女装衣装はハズレ。
数は同じだから、ハズレる可能性は50%だ。
「安心して、僕もチア衣装だから」
「おまえ似合うからいいじゃん…」
「そんなことないよ」
いや、雛貴は女装が似合う。
去年もハズレを引いてセーラー服を着せられていたが、女そのものだった。
「最悪だ…」
体育祭は今月の末。
憂鬱な気分になりながら、俺は自分の席に戻る。
納得がいかなかったのは、その後も寝っぱなしだった柊の衣装が軍服だったこと。
最後に残った一枚を雛貴が引いて決めた。
ちなみに、あいつが起きたのは昼休みになってからだった。
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