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6月19日(金) 隠しているものにしおりをはさみました!
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6月19日(金) 隠しているもの
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───彼は、何を恐れているのだろう。
恥ずかしがるようなタイプじゃないのに、怜は頑なに欲望を隠す。
「……」
汚れた床を拭きながら、ソファで眠る怜を見た。
───俺が、汚した。
なのに彼は、汚れた部分を俺に隠す。
めちゃくちゃにして吐き出させないと、片鱗を見せようともしない。
飄々と、余裕ぶって、笑顔を浮かべて。
こっちが罪悪感を感じるほどに。
「……」
俺は立ち上がり、窓を開け放った。
日没の空は暗く、冷たい風を部屋に寄越す。
「ん…」
眠る怜が、身をよじって縮こまった。
少し、寒かっただろうか。
俺はブレザーを脱いで怜にかけた。
すると怜はその袖口を握りしめ、再び大人しい寝息を立て始める。
「…怜、好きだ」
少し大きく声を出してみた。
怜は、俺に出会って変わったと思っている。
変わってしまった自分を、醜いと思っている。
───そんなところも、全て好きだと言えるから。
きっと、変わってしまったのは怜だけじゃなくて。
変えたのも俺だけじゃなくて。
柄にもないことを思うほど、言うほど、俺も変わった。
───いつか、君に。
うまく言えないこの感情を。
つたない言葉でも、伝えられたら。
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