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人狼vs狩人編(15)にしおりをはさみました!
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人狼vs狩人編(15)
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4日目・夜つづき
side:シン
「終わったな」
コテージに着いた俺を見るなり、エドガーが声を上げた。
「終わったって?」
「もう無理だ。勝てない」
「どうしてだよ?」
「ショウヤが誰を占ったとしても、明日私かシンのどちらかが追放されてしまう。ミノリはゲイのフリして追放されたから、ゲイはあと1人だと思われてるけど、アランを占ったら私とシンのどちらかがゲイってことになるし、私かシンを占ったらゲイだとバレるからな。そうなると、今夜誰かを襲えたとしても、ゲイ1人対ノンケ4人だ。しかもその4人はゲイでないことが確定してる。勝てるはずがない」
「……じゃあ、エドガーはどうするの?降参ですって言っておしまいにする?」
「…それは、しない」
エドガーは思いつめたような表情を浮かべている。
「どうしたんだ?エドガー」
「覚えているか?私がゲームに勝ったら叶えたい願いがあると言ったことを」
「…ああ、そうだっけ?」
たしかに序盤の方でそのようなことを言っていた気がする。
「私の願いは、アランの記憶を消すことだった」
「記憶を消す…?」
「このゲームに参加してしまった以上、私がその…変わってしまったことは、最後にはバレてしまう。だから勝って、アランのこのゲームに関する記憶を消そうと思っていた。」
「そんなに知られたくないんだな。アランのこと信頼してないのか?」
「それは…話が別だ」
エドガーの表情がさらに重くなった。とにかく話の続きを促す。
「…それで?何か言いたいことがあったんだよな?」
「ああ…。このままではゲームに勝つことは難しい。だから、次にいい方法を考えた」
「へえ。方法って?」
「シン、頼みがある」
「うん?」
「今夜、私にアランを襲わせてくれ」
「……はあ?」
あんなにアランは襲うなと言っていたのに…それに…
「どうして今なんだ?今アランがいなくなると、グレーゾーンにいるのは俺ら2人だけになるぞ?どうせ襲うつもりだったなら、もっと序盤だろ」
「アランを襲うのは、勝ち負けには関係ないんだ」
「関係ない?どういうことだ」
「どうせバレてしまうなら…明日、大勢の前で暴かれるのではなく、直接アランに伝えたい。もうそれは今夜しかできない」
エドガーは俺の肩をつかんだ。
「頼む、私にアランを襲わせてくれ」
「……」
エドガーの気持ちもわからないことはない。でも、従うことはできない。
「エドガーさ、終わり終わり言ってるけど、まだ勝負は終わってないんだぞ」
「たしかにそうだが…もう無理だろう」
「このゲームは、相手を騙すゲームだ。たとえ俺たちがゲイであることが一見明らかだったとしても、上手く騙すことでそれに気づかせないこともできる。だから、まだ勝つ可能性は残されている。でもアランを今日襲ってしまうと、その可能性はより少なくなってしまう。別の誰かを襲って、なんとか勝てないか頑張る方が俺はいい」
エドガーはしばらくそのまま黙っていたが、やがて手を下ろし、一歩下がった。
「わかった。交渉決裂だな。じゃんけんで決めよう」
「ま、またじゃんけん?」
「公平だと思うが」
公平…のはずなのに、俺が初日から負け続けなのはなぜだろう。
「わかったよ…じゃあじゃんけんな」
今日も負けてしまった…。
「おいエドガー、どうしてそんなにじゃんけん強いんだよ?」
ずっと硬い顔だったエドガーが、初めて少し笑った。
「シンさ、気づいてないと思うけど、手の動きで何出すか丸見えだぞ」
「…え?!」
そんな馬鹿な…。
エドガーはコテージを出て行ってしまった。
打ち明けるだけでは終われないことを、エドガーは本当に理解しているんだろうか。
アランを襲うことが、本当にできるのか?
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