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おはようにしおりをはさみました!
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おはよう
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目を覚まして、最初に飛び込んできたのは白い天井だった。視線を横にずらすと、ベッドに凭れ眠っている男の人。
この人は、誰だろう?
「ん……起きたか」
ほんの少し身動きをしただけなのに、その男の人は目を覚ましてしまった。
起こさないようにと、思ったのに。
よくも起こしてくれたなと殴られたらどうしよう……。
「おはよう」
「……え…?」
殴られると思っていたのに、彼はふわりと微笑んで“おはよう”と言った。
あまりの驚きに口を開けたまま固まってしまう。
それに、この声……どこかで……
「……あ」
「ん?」
「おは、よ……うさぎさん」
そうだ。さっきの夢でも聞いた、うさぎさんの声だ。
挨拶をし返すと、うさぎさんは口をぽかんと開け固まった。
僕、何か変なこと言ったかな……?
「うさぎさん……て、俺のこと?」
うさぎさんの質問にこくこくと頷く。
あなた以外に誰がいるのだと言うのだろう。
しばらく頭を抱え何やら考え込んでいたうさぎさんは、一度大きなため息をつくと頭を掻き僕を見た。
じっと見られて、思わず目を逸らす。
「うさぎさん……ね。まぁいいや。先生呼んでくるからちょっと待ってろ」
「あ……」
ほとんど無意識のうちに、うさぎさんの服を掴んでいた。自分でとった行動に自分で驚く。
なんだ、これ。
まるで行って欲しくないみたいじゃないか。
「1人になるの、不安?」
「はい……」
「そっか。大丈夫、どこにも行かないから」
うさぎさんの声はどこまでも優しかった。
ふと、とても懐かしい感覚に襲われた。
いつだったか、こんなふうに優しい声の人を好きになったような気がする。
それが誰だったのか、もう思い出すことは出来ないけれど。
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