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物心がついたときから植物に囲まれていた。
裕福な家庭に生まれて、大きな庭にはじいちゃんが定番から変わった植物までごちゃまぜに植えていて、幼い頃から植物に触れる機会が多かった。
伯田家は歴代植物に関わる物事に従事していて、息子である俺は所謂サラブレッド。
じいちゃんは元大学の人気教授で、講演会とかにたまに呼ばれるけれど今は専ら巨大な庭弄りに夢中。噂によると新種開発をちゃっかり研究してるとかそうでないとか。
父さんは植物地理学の研究者で、いつもどこかに調査へ行ってしまっていて殆ど家には帰ってこない。
ばあちゃんはお花の先生、母さんはフラワーコーディネート、兄さんは去年博士号を取って今は特別講師とかしながら植物生理生態学とか細胞学とか研究してるみたい。
そんな家系に育った俺は自然とその道へ興味を持って、花屋でバイトしながら大学で経理経済を学んで開業。今年で4年目になるけど、経営は案外順調。
植物業界のコネと知名度が高いこともあって、仕入れは有利だし、植物に詳しすぎる家系のお陰でわからないことはない。
母さんの繋がりでブライダルに花を卸したり、葬儀の花もやるし、もちろん個人への販売もする。
アレンジ系は予約のみで母さんが作成するのもあって予約1ヶ月待ち位に人気だし、ばあちゃんのお花教室も沢山の生徒さんがひしめき合う位人気。
伯田家の女性は、研究ばっかりの男たちと違ってとても商業的に植物を愛していて、人に笑顔を与える良い仕事をしていると、身内ながらに思う。
根っから明るい俺は兄さんと違って社交的で、いつもにこにこと愛嬌がいいと褒められたほど。
それが武器となってるのか商売とは相性がよくて、経営学を学ぶのはとても大変だったけれど、今ではそれも含めてこの仕事が楽しい。
そんな順風満帆な俺には恋人がいません。
仕事が忙しいのはもちろんあるけれど、自慢じゃないがお客さんから連絡先聞かれたり、アプローチされることはあるから出会いがないわけではない。
そんな俺が恋人が長年いない理由。それは、俺が、同性愛者だから。
どんなに可愛い女の子に告白されても心が動かないどころか、兄さんが一番可愛いと思ってしまっていた少年時代の俺。
初めはただのブラコンだと思っていたけれど、段々おかしいと感じたのは中学2年の頃。
同じクラスの友達にキスをしてしまった。思い切り殴られたけれど、後悔はなかった。
そのことをじいちゃんに相談したら、男の子が好きなことは悪い事ではないけれど、沢山の辛い事が待っているから、その人生を歩むのなら覚悟は決めなさい。と言われた。
これは2人だけの秘密だけれど、じいちゃんも幼馴染の男の子と恋をしていたらしい。
伯田家のお世継ぎは兄ちゃんと妹に任せよう。勝手に決めて自分に素直に生きることをじいちゃんに誓った。
そんな俺、我が道を行き、学生自分は違う学部の男の子と付き合ってた。
お付き合いは3年続いたのに、俺が開業して向こうは就職。自然と上手くいかなかった、元々お互いに忙しかったから何の問題もないと思ってたけれど、やっぱり朝早くから夜遅くまで働く俺とは時間が合わないから。
寂しいかと聞かれてNOと応えるほど強がりではない。
でも。
最近俺はときめいていた。
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