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書店 side Rにしおりをはさみました!
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書店 side R
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昨日、お昼間に本屋へ偵察に行ってみた。
―藤井って、ドレだ?
おっ、アレか!?
平積みを直してる、スラッとした男に、目がいった。
パッと見は朝ドラの…
あー、誰やっけ?
「ほら、なんて言うたかな?あのニヤけたイケメン。」
ボソッと呟いたつもりが、聴こえたらしい。
「あ、コチラですね~。」
満面の笑みで、オバハン店員が私を手招く。
「え…?」
「去年から、話題のこの方。」
「あ、違います。」
―そりゃラガーマンやろ!?
たしかにタレ目で、ニヤリとしてるけどな…。
「じゃあ、やっぱり今大人気のこの方。」
「いえ、それも違います。」
「やっぱりね~、素敵ですもんね!映画も公開中ですよ。」
「忍者、でしたっけ。…でも、違います。実はコチラで働いてる、親戚を探してまして。」
「ああ、そうでしたの!?で、ご親戚のお名前は?」
「藤井です。」
「だったら、あの人ですよ。」
オバハンの視線の先には、通路の奥で、段ボールを運んでる、地味な中年。
―違う。
たぶん、アレやない。
インテリっぽくて、顔はソコソコやけど。…背が低いわ。
あの人が気にするんは、昔っから、自分より背が高い人やもんな。
雑誌を探すフリで、さっきのオバハンに近づいた。
「ええと、…あの人は?」
「堀江くんですよ。目立つ子でしょ?」
「…まぁ、そうですね。」
すると、むこうから、話題のニヤけ男が寄ってきた。
「コレ。津田さんのペンですよね。レジにありましたよ。」
「あら、そうだった?」
オバハン、努めて素っ気なく対応。
―素直じゃないな~。
「あ、こんにちは。」
―わ、若いっ!?
爽やかな感じが、逆に胡散臭い気がした。
―アカンわ。
最近誰を見ても、変な目で見てしまう…。
「どうも。」
軽く自己嫌悪しつつ、適当に会釈した。
「あの、…悠真くんママですよね?」
―は?
「えぇっ!!なんで息子の名前を!?」
―こやつ、ショタコンかっ!!
まさかの親子…
いやいやいや!
ソレはないないない!
固まる私をキレイに無視して、堀江は言った。
「いつだっかなあ?そこの絵本コーナーで図鑑を抱っこして…」
「ああ!あの時の!?」
―思い出した!!
動物図鑑が欲しいって、クリスマス前の金欠日に、悠真にしつこくゴネられて、困ってた時
「じゃあ、お兄さんがサンタさんに言っといてあげるよ。」
って、笑って言うてくれた、あの店員さん?
「あれから悠真くん、どうしてますか?」
「それがね、実は…」
何回か、気持ちよく相槌を打たれて、ついつい、子供ネタで、話し込んでしまった。
―イマドキ若者の傾聴スキル、恐るべし!
「あ!ごめんなさいね。お仕事中やのに。」
「いえいえ。最近来られて無かったから、気になってたんですよ。また悠真くんと来て下さい。」
にこやかに手を振られた。
―正直、悪い気は、しない。
でも…。
夫の相手が、アレなのかもしれない、と思うとかなり複雑だ。
堀江とフジイ。
どっちもハズレなら、良いのに、と思った。
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