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ある朝のお話~カイレン編03にしおりをはさみました!
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ある朝のお話~カイレン編03
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そんな相手の本名を呼ぶなんて、
まるで友達や恋人、家族のような
仕事とは関係ない親しい間柄になったような気がして
クリノは段々恥ずかしくなってきた。
「は、はッ??なななんで
呼ばなきゃならないんだよ…!」
「…だってプライベートな時くらい
本名で呼ばれたいんだもん」
「…だもん、ってお前。。。
幾つだよ」
「クリノ、、お願い、呼んでくれたら
起きるから」
「…………どうしてそうなるんだよ…
お前が起きたいんじゃないのかよ…」
「クリノ」
「ぁ?」
「呼んで」
「だからッ!何で本名呼んだら起きるとか
わけわかんない展開になってんだよ!」
「ク~リ~ノォ」
「あ゛ぁ゛、もう、ッ!呼べばいいんだろ!
呼べばッ!!!」
半ばやけくそになって本名を言おうとした。
しかし、、、声が出ない。口もうまく動かせない。
なぜか急に恥ずかしくなり、たったの4文字が言えない。
顔が熱くなっていく。
「・・・クリノ?」
まだ眠そうではあるが、
期待を含んだ瞳で見上げられる。
催促されているように感じられ、
焦燥感に駆られるが、それよりも
恥ずかしさが上回る。
「カ、カイ・・・」
かすかに出た声。
しかし小さすぎて不自然に
吐息が漏れているような感じになってしまう。
カイレンはよく聞こえず、聞き返す。
「ん? クリノ、もう一回」
「う゛ッ」
嬉しさを堪えきれないのか、
カイレンは笑いを堪えるような、
悪戯っぽいような表情で見上げてくる。
クリノはちょっとイラついた。
(たかが、名前だ、たった4文字だ
俺は何を意識しちゃってるんだ…!)
そう自分に言い聞かせ、再挑戦するが
どうしても消え入るような言い方になってしまう。
「カ、カイ、、レ、ン」
「ん~~もう一回」
「あ゛ッ!?もういいだろ!」
「もっかい!!」
「んあ゛ッ!!カイレン!!
・・・これでいいかッ」
「うんっ♪やっと呼んでくれたねv」
顔が熱くて仕方ない。
カイレンに顔を見られないよう
できるだけ顔を背け遠ざける。
カイレンはこの上なく嬉しそうな顔をしている。
クリノには見なくても分かった。
小さい声で「可愛い可愛い」と言いながら
ぎゅうぎゅうと抱きついてくる。
苛立ちが募る。
そっぽを向いたまま声を荒げる。
「ほらッ!!約束果たしたんだから!
さっさと起きろッ!!
訓練終わるぞ!!」
「は~い、起きますよ」
そうしてようやく布団から抜け出し、
クリノは解放される。部屋の空気が
ひんやりとしていて気持ちよかった。
カイレンは鼻歌混じりに着替えをしている。
クリノは床に転がったおもちゃを手にし、
カイレンの背中に一打ちする。
ピコッ
軽快な音が鳴る。
カイレンが驚く。
「え!ちょ、なにッ!?」
「先行ってるからな(怒)」
「うそ、ちょっと待ってもうすぐ
着替え終わるからッ」
「もう十分待った!!!(怒)」
そう言うと、スタスタと部屋を出ていくクリノ。
先程カイレンから受けた首筋の甘い痛みを
気にして襟を立てながら訓練場へと歩みを進める。
カイレンはそれを追ってバタバタと自室を後にした。
--------終
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