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第三章 帰郷(3)にしおりをはさみました!
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第三章 帰郷(3)
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そうこうしているうちに、高校に入って初めての夏休みが近づいてきた。
俺は、部活の練習が予定に入っている関係で、お盆を挟んで、1週間程度だけ、実家に帰省する予定だった。
西野に予定を尋ねたとき、彼が帰省の予定はないというので少し驚いた。
長期休暇中も、海外に両親が駐在していて日本国内に帰省できる場所がないなど、特段の事情がある場合は、寮に残ることが認められる。
でも、ほとんどの生徒は、たとえそれが海外であっても、ごく短期であっても、一定期間は両親や家族のもとで過ごすのが一般的だった。
俺たちは、これまで不思議なくらい、家族の話をしたことがなかった。
西野がなんとなくその話題を避けていそうな雰囲気を俺が察していたからだが、この機に、俺は少し踏み込んで、お互いの家族のことを話してみることにした。
俺は、まずは、自分の家族について話した。
山陽地方で、新興のパチンコ機器製造業を営む父と、専業主婦の母、弟がふたりいること。
行ける能力があるなら東大に行かせたいと考えた父の希望で、東大合格者数が国内随一の明頌学園を受験し、ここに通うことになったこと。
母は、将来の大学受験のために中学生のうちから子どもを遠くにやることに、あまり乗り気ではなかったが、今は一番支えてくれていること。
1歳下の弟は、反抗期の生意気盛りで、家族とろくに口もきかないが、もうひとりの、年の離れた弟は、逆に自分に懐いていてとても可愛いこと。
西野は俺が語る家族の話を、ときおり質問も交えながら、楽しそうに聞いていた。しかし、いざ自分の家族について俺に尋ねられると、途端に口数が少なくなった。
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