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「今頃荒れてるだろうな…あいつ」
「あいつってリカちゃん?」
リカちゃんかと思って聞いた俺に、お父さんは首を振る。
「由良は昔から理佳をライバル視してたからねぇ。年下の理佳をライバルなんて笑ってしまうけど、あれも由良なりの愛情表現だったのかもしれない。どちらも不器用だから掛け違えてばっかりだけど」
それでも決めたことを貫くリカちゃんはここにはもう来ない。そして由良さんにも他にするべきことがある。
「なんだかんだ言って由良はこの家が好きだからね。甘やかされて育ったここから出ていけるわけないんだよ」
それはそれで悲しい気もするけど…でも、それが由良さんの選んだ道なら仕方ないと思った。
リカちゃんの言った通り、全部を手に入れることは誰にも出来ない。その中で何が1番大事なのかを考えなくちゃいけないんだと思う。
そしてそれを考えた結果、リカちゃんは俺を選んでくれたんだと思う。
「それにね。由良には男同士かつ親族の壁は越えられない。あの子は周りの目を気にしすぎる」
「…普通はそうだと思うんだけど」
「それじゃあ理佳の相手はできないね。なんてったって私の息子なんだから」
それは自慢できるところなのかは微妙だ。さすがリカちゃんのお父さんというか、さすがこのお父さんの息子というか…どっちも当てはまる。
この2人を見てきた歩は大変だったんだろうなと思った。
「じゃあ寒いから私は中に戻るね」
ぶるっと身震いをしたお父さんが家に戻ると踵を返した。俺はそれを咄嗟に止める。
「もうすぐリカちゃん戻って来るから」
「いいよ別に。息子の顔なんて見飽きてる。それに天使ちゃんと話せて満足だしね」
「でも、」
またしばらく会えなくなるかもしれないのに本当にいいんだろうか?視線にこめたその思いにリカちゃんのお父さんは答えてくれる。
リカちゃんと同じように、言わなくてもわかってくれる。
「家族なんてものはね、そう簡単に切れないし無理して合わせるものじゃないんだよ。2人もそんな関係を目指してほしいっていうのが私からのアドバイスかな」
手を振って戻っていくリカちゃんのお父さん。少しして迎えに来てくれたリカちゃんに、話した内容を言うと嫌そうに顔を顰めた。
「なあ、お父さんが言ったのってどういう意味?」
「まだ秘密。いいからあんな変態のことなんて忘れろ」
リカちゃんはムスッとして教えてくれない。そのままナビを頼りに車を走らせる。
もう時間も遅く、またラブホに連れて行かれるかと思ったら今度はちゃんとしたホテルに着いた。フロントで受付を済ませた俺たちは一目散に部屋へと向かう。
さすがに疲れていたらしいリカちゃんが、中へと入ってすぐにソファに沈んだ。
「慧くーん…2日間頑張った俺を癒して」
甘えた声で俺を呼んだ。
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