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カイ
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「伊集院」
「分かりました」
「降格ですか。私は。なら一つ言わせてください」
「駄目。それと降格じゃないよ。君はね、処分」
「は?」
ごきっ
滑るような体さばきで背後に滑り込んだ伊集院が、重機のような腕で顎と頭を固定して、瞬きをする間に首を曲げ、音が後から鳴った。
崩れ落ちる男を御曹司君に凭れさせて、伊集院がこちらへ向き直る。
「お疲れ様です。後はお任せを」
「ん、行くよ」
夜見を呼ぶと片腕にしがみつくように抱き着いて来て、ちょこちょこと隣を歩く。
ぱ、た。
と、後ろでドアが閉まる音が微かに聞こえたと思ったら、ぐいっと腕を引かれて、抵抗する間もなく唇を塞がれた。
「ん、ふ、んぅ、ん」
「んー。んー」
どうやら癖らしい能天気な声を出して、クチュクチュと唾液を移してくる夜見を抱きしめ、ゆっくりと、でも力強く背中を叩く。
「ん、駄目?」
「駄目じゃないよ。場所変えよっか」
「こっち」
「こういう時だけ元気に動くんだから」
抱き着いたまま強引に身体を動かして、代表室へと引きずり込まれる。
革張りのソファーの上に押し倒されたところで、何かする前に手を絡ませ、口を開いた。
「興奮しちゃった?」
「ん」
見れば、服の上からでもわかるくらい、夜見の雄は立ち上がっている。
「入れて欲しい?入れたい?それとも、苛めて欲しい?」
夜見の目が、お菓子を選ぶ子供みたいにキラキラと輝いて、つないだ手をそのままに、べしゃりと上体を倒してすり寄って来た。
「ぃじ、めて」
ぞくりと、身体の中に火種が生まれる、
「変態。服脱いで」
「んっ、できな、い」
「嘘。脱がせる時に触ってほしいんでしょ。それだけで気持ち良いんだ。淫乱だね」
は、は、と、耳元で息が荒いでいるのが分かる。
手をほどいて、するすると後孔のあたりに滑らせ、服の上からつついた。
「ぁんっ」
未だに声変わりをしていない様な、綺麗なボーイソプラノが鼓膜を揺らす。
「あん、だって。自分で聞こえた?今の。あん。あん。あん」
「そ、そんなに、言って無、ぃっ、ん、あっ」
ぐいぐいと服の上から指をねじ込む。
濡らしてもないし入らないかなと思っていたけど、思いのほかずんずんと入っていって、少し面白くなってきた。
「いやらしい子。お尻の穴にパンツとズボンねじ込まれて、涎垂らして喜んでる。ど変態」
「ぃ、あ、よ、喜んで、な、ふっ、んぁっ」
突っ込んだ指を穴を広げるように上へと引っ張ると、つられて腰が浮いた。
くんっ、くんっ、と揺さぶって、しがみついて来た夜見の耳を舌で嬲る。
「んぁ、は、ぁ、んん、耳、やぁ」
「嫌?ならしょうがないね。もう二度としない。二度とね」
それだけを囁いて、乗っかっている身体をソファーから突き落とす。
「ぃだっ、ぁ、ぅう」
当たり所が悪かったのか、頭を抱えてうずくまった夜見を無視して、部屋から出た。
毛の長い絨毯を踏みしめて廊下を歩き、エレベーターホールへと向かう。
途中数人の黒服に会い、その誰もが一人の僕を訝しんで、数瞬の後に何かを悟った。
ホールについてボタンを押すと、チンっ。と電子レンジみたいな安っぽい音が鳴り、銀色の扉が滑る様に横に引く。
迷わずそれに乗り込むと、廊下の向こうから不格好に走ってくる夜見が見えた。
「ばいばい。先に帰るね」
「ゃだっ、やだっ、やだぁっ、や」カチン。
無機質に扉が閉まって、遠慮なく言葉を断ち切った。
「・・・ぁ・・・ぁあ・・・だ・・・」
かなり小さいけど叫び声みたいなのが聞こえる。多分というか間違いなく夜見だろう。
今日はどこで追いつくかな。
思わず緩んだ頬を触って、壁に寄りかかって目を瞑る。
Xマークのボタンを押したから、エレベーターは一階に着くまで止まらない。
となると普通に考えて、追いつくのは少し厳しいかなぁ・・・ちょっとハンデが要るか。
す、っと音もなくドアが開き、ロビーを出口に向かって歩き出す。
伊集院が呼んでくれていたのだろう黒塗りの車に乗り込んで、運転手に待ったをかけた。
「そうだね、後、一分待って。そしたらすぐ出て良いから」
「承知しました」
広い座席に横たわって目を瞑り、叫び声を待った。
大きく息を吸い込むと、微かに薬っぽい匂いがする。
新しい運転手はどうやら綺麗好きらしい。良い事だ、僕とは気が合いそう。
ならばと思って目を開き、備え付けの引き出しを開けると、中の埃も隅の隅まできれいにされていて、運転席の窓を叩いた。
「何でしょうか?」
「掃除、君がしたの?」
「はい」
「上出来。これからも宜しく」
「恐れ入ります」
「…聞こえる?叫び声」
「はい、微かに」
気のせいじゃ無かったか。
どんっ。と車体に何かがぶつかり、次いでガチャガチャとドアノブが動いた。
「鍵開けていいよ」
「承知しました」
カチ、ガチャッ…バンッ。
恐らくこの車のドアをそんなに荒々しく開けるのは映画の中のアクションスターだけだろうなと思うくらい勢いよく扉が開き、反動で帰ってきて、夜見にぶつかった。馬鹿だ。
でもそれを口にする前に跳びかかって来た夜見に殴られて、口の中に血の味がする。
「一人にっ、したっ」
「他の人沢山いたでしょ。伊集院とか」
わざと名前を出してやると、分かりやすく表情が歪み、目から涙が零れる。
「やっ、あいつっ、やっ」
「僕は気に入ってる」
「ぅう、ぅう」
「あ、もう出していいよ」
「承知しました」
滑るように滑らかに車が発進して、一瞬揺らいだ夜見の身体を逆にシートに抑えつける。
泣きじゃくって顔中光らせてる夜見が、嬉しそうに口角を上げた。
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