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まずい
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「カイが、いっぱい。カイだけ」
「そうだね。夜見は視野が狭いもんね」
そう言うと、夜見はきょとんと眼を真ん丸にして、僕の目のあたりを触った。
「僕の方が、おっきいよ?」
「そうだね。でっかくて、リスみたい」
「リス嫌い」
「どうして?」
「まずいもん」
「そっか。じゃあ夜見みたい」
「僕が?僕みたい?」
「そう。夜見みたい」
「…わかんない」
「良いよ、ん?あぁ、さっきので出しちゃったの?」
ふと覚えのある匂いがして夜見の股を手で触ると、にちゃりと音が鳴った。
「あぅ、ん。いじめられてるって思ったら、走ってる時に出た」
「夜見の身体は壊れてるんだね」
「駄目?」
「全然」
「やった」
とりあえずそのままでは汚いので、ハンカチで顔を拭ってやる。
拭いている途中嬉しくなったのかしきりに僕の名前を呼んできたので、指を口に突っ込んでやると、ちゅうちゅう吸ってて可愛かった。
「んー、良いかな。はい、おしまい」
「んーん、んーん」
両手で僕の手を掴んで、より一層指をしゃぶる。馬鹿丸出しだ。
でもまぁ夜見なら良いかと自己完結して、喉の奥まで手を突っ込む。
「ん˝んっ、ぅえぅっ、ぉ、ぉっ」
奥に奥に指を入れて、喉彦を撫で上げる。
ぷにぷにとした感触を楽しんでいると、粘着質のある音が聞こえて車内の匂いがその濃さを増した。
「あらら、また出たの?」
喋れるように少しだけ手を引っ込み、ふにふにと頬の内側を撫でる。
「んゅ、でふゃっふぁ」
夜見の上気した顔色に、もっとひどい事をしてあげたくなる。
だけど、ふと窓から外を見たら景色は動いていなくて、既に家に付いていたことに気付く。
「んー、着いちゃったね。続きは中でしよっか」
ちゅぽ、と口から指を完全に抜くと、悪戯を思いついた表情で、夜見が言う。
「ここも、中だよ。車の中」
「僕の揚げ足を取るなんて賢くなったね。でも何をするかは言って無いから、ここでするならキスして終わり。どうする?まだ反抗する?」
「ずるい」
「賢いのさ」
「嫌い」
「嘘」
「うん」
「出る?」
「うん」
「素直でよろしい」
「偉い?」
「偉い偉い」
「撫でて」
「駄目」
「駄目?」
「うん、駄目」
「何で?」
「力抜くから」
「抜かない」
「嘘」
「うん」
「素直でよろしい」
「偉いもん」
「そうだね。出るよ」
「ん」
ぬっ、と横着に手を突き出して来た夜見の手を取って、車の外まで引っ張り出す。
「はいはい、しゃんとする」
「しゃんしゃん」
「馬鹿。踊らないの」
ぴょんぴょんと小さく跳ねながら付いてくる夜見を諫めて、樫の木で出来た無駄に大仰な門をくぐる。
「お疲れ様です」
ずらりと、いつもの様に首を垂れるガタイの良い男たちの間を通って、屋敷へと歩みを進めると、音も無く一人の黒服が近寄って来た。
「何か用?志田―しだ―」
「お耳に入れておきたいことが」
「部屋までくる?」
「…」
夜見が志田を睨みつけたので、怒らないの、という意味を込めて手を繋ぐ。
「道すがらで済まします」
「ん、で?」
「実は、先日会食をした西園寺のご令嬢が、夜見様の事をいたく気に入ったらしく」
「それで?」
「お見合いだけでも、と」
「へぇ。夜見、お見合いしたい?」
「したくない」
「だって」
「はい。私も事前に言われていた通り同様の返事を返していたのですが、どうしても直接お会いして返事を聞きたいと仰っていて」
「どの辺が、お前の対処できる範囲じゃない訳?」
「無礼とみなしても良い。と、言ってきています」
ざっ、と足元の砂利を鳴らして、その場に立ち止まった。
「ん、カイ?どうし」「黙れ」
あぁ、むかつくなぁ。汚い害虫がブンブンと、身の程も知らずに飛び回って。
「志田」
「はい」
「最近あったかくなってきたね」
「はい」
「変質者が増えるかもね」
「はい」
「女の子には、危ないね」
「はい」
「他人の不幸は蜜の味って言うけど、目の前で見てもそう思えるのかな」
「場合によるかと」
「試してみたいな」
「試してみますか?」
「試してみようか」
「近くのオフィス街がよろしいかと」
「サラリーマンも大変だからね」
「承知しました。明日で宜しいですか?」
「うん」
「失礼します」
「カイ、明日お出かけ?」
「うん」
「あの女の子に、酷いことするの?」
「僕はしないよ」
「どうして?」
「夜見は、嫌いな虫を殺す時って、手で潰したいと思う?」
「思わない」
「だから、しないの」
「ん」
「わかったの?」
「わかんない」
「だろうね」
ぴくぴく
「ん?」
不意に握っている手が微かに震えて、視線を落とすと夜見の指が変な方向を向いていた。
「あぁ、握りしめちゃってたね。痛かった?」
「凄い痛かった」
「ごめんね」
「許さない」
「どうしたら良い?」
「…部屋帰ったら教える」
「分かったよ」
僕はもう一度、部屋へと歩き出した。
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