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ぽろり、落ちて
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「いただきます」
ほかほかのご飯にハンバーグ、サラダにスープ。そんな食事が並ぶちょっと遅めの夜ご飯。
実は冷蔵庫にプリンが4つ入ってたり、何気にそれが楽しみだったり。
「ん、すっごく美味いね!これ!」
ヒヨコさんがハンバーグを一口食べて言う。俺はそれだけで飛び上がるくらい嬉しくなった。多分今の俺、にやけてるんだろうなぁ。
「仁は料理苦手だっけ?」
「……ちょっと下手くそなだけだ」
「はは、それを苦手って言うんだよー?」
仁さんとヒヨコさんがぽつり、ぽつり、と話す。そんな姿が何だかとても懐かしく思えた。
それと同時にちょぴり寂しくなった。
もう慣れたことだけど、そう思いながらもきゅっとほぼ無意識にハルの服の裾を握る。
「……イオ?」
二人にバレないようにこっそり小さな声で名前を呼ばれた。多分それはハルなりの気遣い。
「兄ちゃん、ちょぴり寂しくなっちった」
ヘラッと笑いながら言葉を返す。
ふざけたように返す俺だけど、ハルはそれが俺の強がりだってことを分かってるらしい。
裾を握る手をそっと絡め取られて、仁さん達にバレないようにこっそり机の下で繋がれる。
「……こうすれば寂しくないから」
ひんやりと冷たい手は俺の体温と溶け合って、何だか心地よかった。
「ありがとな、ハル」
じんわりと胸の奥が熱くなった。
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